年月と花と根の物語
上品な白
ほっこり
滋味深く
優しい甘さ
年月と花と根と
お正月3日の札幌はしんしんと雪が降り続き、凍てつくような朝。
窓を開けて外気を吸い込んだ瞬間、ヒュッと肺まで凍り付くような、
まるでシベリアのような強烈な寒さ(行ったことないけど、笑)に
思わず身が引き締まりました。そうだった、冬は寒いんだった。
特にお出かけの予定も来客もなく、おウチで静かに過ごすお正月、
お楽しみは、やっぱり、食べること(笑)
恒例の我が家の伝統メニューに加えて、毎年新作料理も加わりますが、
今年もクリーンヒットが続々登場いたしましたよ。
まずは、とってもお正月らしい一品「ゆり根の旨煮いくら添え」。
年末に知り合いの農家さんから立派なゆり根が送られてきて、
さっそく今年のおせちに加えさせていただきました。
上品な白さと滋味深い甘みをそのまま生かした一品に。
子どものこぶしよりも大きな、それは見事なゆり根。
傷つかないようにオガ粉にすっぽりと埋まっている姿を見ると、
お料理するのは物凄くハードルが高そうな気がしますが、
ゆり根クッキング、やってみると意外と簡単。
最初に水洗いしてオガ粉をキレイに洗い流し、
外側の鱗片から1枚ずつ剥がし、根元が見えたら包丁で切り離し、
バラバラにした鱗片を水で洗い、茶色になったサビの部分を
包丁で削り落としたら下ごしらえは完了。
昆布と鰹節でとった一番出汁に味醂、醤油、塩少々を加えた
淡い薄味のおだしにゆり根をそっと投入、紙蓋をしてことこと静かに
5分ほど煮含め、ゆり根がうっすら透き通ってきたら
火を止めて味を含ませます。すぐ煮崩れてしまうので目が離せません。
食べる直前に器に盛り付け、北海道産のいくらを添えたら完成。
「北海道産ゆり根の旨煮~いくら添え」
羽二重のような上品な白。花びらにも似た愛らしいフォルムに
初日の出のようなオレンジ色のいくらがよく映えます。
器は清水焼の網代鉢にしました。うふふ、ちょっと京都の料亭っぽい♪
このお味が、まあ、最高!絶品!
おだしの旨みをふくんだほっこり甘いゆり根といくらがベストマッチ。
大晦日に開けたドラピエ・カルト・ドール・ブリュット、
現在で8代目という家族経営のメゾンのシャンパーニュにもよく合う♪
北海道はゆり根の生産量日本一のゆり根王国。
現在、生産されているゆり根の99%が北海道で作られていて。
その6割以上が和食の本場である関西で消費されています。
そう、意外に、道民はゆり根に馴染みが薄いかもね。
日本一のゆり根王国なのに、ゆり根のあまり知らなかったりする。
たとえば食卓に届くまでに6年間の長い年月がかかるって、ビックリ。
1年目、培養施設でウイルスフリーの種子を育て、そこから2年かけて
「母球(ぼきゅう)」にまで育て、その「母球」から半年かけて
「子球=タネ球」を増殖、タネ生産だけで3年かかるのだとか。
そして4年目、5年目と春に畑に植えて秋になったら掘り取って、
翌春まで保存することを繰り返し、5年目、6年目はできた蕾を摘む、
摘蕾作業をして、球根に栄養が行くように丹精込めて育て、
6年目の秋にようやく収穫、出荷となるのだそうです。
なんと、ゆり根の元となるタネから6年間という長い年月、
掘り取っては畑に戻し、大切に大切に慈しむように育てられるゆり根。
本当は美しいユリの花になるはずだった球根だけに栄養が行くように
小さな蕾は摘まれて摘まれて、立派なゆり根となるのですね。
上品な花びらのような姿、優しい甘さは
花になるはずだった長い時間と引き換えに生まれた味わいなのだ。
ゆり根よ、ゆり根。
時間と花と根が紡ぐ物語は、しみじみと滋味深い。
(写真は)
「北海道産ゆり根の旨煮~いくら添え」
咲くはずだった花のことも
決して忘れないよ。

