呼吸するあんこ
まあるく
みずみずしく
まるで
息づくような
呼吸するあんこ
年の瀬は各地から美味しい到来物を戴くありがたい季節。
先日は、知る人ぞ知る最中の名品を頂戴しました。
早朝から行列必至の伝説の羊羹で知られるあのお店、
東京吉祥寺の「小ざさ(おざさ)」の隠れた逸品であります。
羊羹は朝早く並ばないと手に入らないのですが、
最中は夕方まで買える確率が高く、バラ売りもできるということで
吉祥寺に出かけた折の嬉しいお土産になっているようです。
知人から雪の札幌にも銘品最中が届けられ、超ありがたや♪
木版画調で花々が描かれた絵柄に松葉色の掛け紙の小粋な箱を開けると
愛らしい小さな最中がぴっちり整然と詰め合わされていて
ふわぁ・・・なんとも香ばしい香りが鼻腔をくすぐります。
もうね、食べる前から皮のパリパリっぷりが想像できる。
しかし、やっぱり、食べなきゃ!(笑)
ぴっちり並んだ最中軍団からそっと一つ取りだします。
「小ざさ」の最中はつぶあんと白あんの2種類がありますが、
まずは、つぶあんから。
おおお~、この形がまたユニークでカワイイ♪
一瞬、孫悟空が載る雲「筋斗雲」にも見える不思議な形は
中国名で「霊芝」と呼ばれるマンエンタケ科のキノコをかたどったもの。
古来より不老長寿の薬として珍重されてきた幻のキノコ、らしい。
小ぶりで愛らしい最中を、いざ、パクリ。
うわっ!皮がパリッパリ、香りから想像した通りの香ばしさ。
そして・・・中のあんこが・・・みずみずしい!!!
ほどよく練られたつぶあんのふっくらした小豆がたまらない。
紫がかった小豆色の美しさ。
控えめに抑えられた甘みはまあるく、どこにも角がない。
手間暇かけた職人技で仕上げられた絶妙なつぶあんは
まるで息づいている、そう呼吸しているようなあんこだ。
和菓子なのにみずみずしい果物を食べているような錯覚さえ覚える。
甘党ファンから最中界のキング「空也」超え、とも評されるのも納得。
この呼吸するあんこ、小ざさの最中は、あんこが苦手な人もぺろりかも。
3口4口で食べきれる小ぶりサイズもまた嬉しい。
いったい、どうやって、この味が作られるのか?
箱の中の栞によれば、砂糖の甘みをならす、
丸い味とすることを究極の奥義としているそうです。
ねっとりとならないように、ものの生気がなくならいように
心を打ちこんで味の品位を保つ努力を続けているとのこと。
よって「小ざさ」の最中のみずみずしさは
「練りの不足や邪道によってではなく、その時の気候や天候などを予測し、
最新の注意を払って製造いたしております」と書かれていました。
真面目、誠実、覚悟のこもったあんこなのだ。
朝の連ドラ「カムカムエブリバデイ」の一場面、
主人公安子の実家の和菓子屋さんの「あんこのおまじない」を思い出す。
「小豆の声を聞け、小豆が教えてくれる、おいしゅうな~れ、おいしゅうな~れ」
その日の小豆が教えてくれる瞬間に、鍋を火からおろしていたっけ。
今年も色々ありました。
何かと忙しく気ぜわしい年の瀬ですが、
小さな最中を一口食べれば、元気になる。
呼吸するあんこで、深呼吸ができる。
(写真は)
「小ざさ」の最中
孫悟空の雲?いやいや
幻のキノコ霊芝、とか。
ある意味、幻の最中ね。



