重陽の雨
おめでたい
陽の数が
重なる日
菊の季節に
重陽の雨が降る
今日は9月9日「重陽の節句」です。
昔、中国では奇数を陽の数としていて「九」は最大の数。
おめでたい「九」が重なる日を「重陽」といって観菊の宴を催し、
菊を浮かべたお酒を飲んで長寿を祝ったことから
「菊の節句」とも呼ばれ、日本にも伝えられました。
平安時代には日本独自の風習「着せ綿(被綿)」も生まれました。
重陽の前夜9月8日の夜に菊の花を真綿で覆って夜露と香りを移しとり、
翌朝、その綿で体や顔を拭うというもので、
そうすれば老いが去り、長寿を保つとされていました。
なんと風流で美しいこ平安のアンチエイジングでありましょう。
さらに近世になると、白菊には黄色い綿、黄菊には赤い綿、
赤菊には白綿をかぶせ、色を変えた小さな綿で蕊を作るなど
色々と細かな決まり事もできてきたそうです。
このように旧暦の時代には盛んに行われきた着せ綿も
新暦を取り入れた明治ごろから急にすたれていきました。
菊が咲くには新暦だと少し早いからというのも理由らしいですが、
こんな素敵なアンチエイジングな美容法が忘れられていくのは
なんだかちょっと淋しい気がしますね~。
でも、確かに旧暦の時代とは地球環境も大きく変化、
現代のこの時季は線状降水帯による大雨に見舞われることも増え、
菊の花にかぶせた綿もぐっしょり濡れてしまいそう。
札幌も朝から秋の雨が降り続いていて、
菊の花には綿よりレインコートを着せてあげたい空模様です。
そうそう、枕草子でも雨に降られた「着せ綿」に触れています。
「菊の露もこちたうそぼち、おほひたる綿などもてはやされたるある。
つとめてはやみにたれど、曇りてややもすれば降り落ちぬべく見えたる、をかし」。
雨に濡れた着せ綿が一層花の香がするが、早朝には綿がずり落ちそうになっていて、
ちょっとウケるよね~という意味。清少納言さん、やはり突っ込み上手(笑)
実は宮中も含めて「着せ綿」の記録はあまり残っていないそうですが、
季節感を大切にする和菓子の世界では風雅な菓銘として残り、
こなしや練り切りの菊の花に白い綿をのせた和菓子が作られています。
お菓子の世界は貴重な歴史の資料館でもありますね。
やみそうもない重陽の雨を眺める朝。
雨に濡れる着せ綿に
そっと傘をさしかけてあげたい気持ちになる。
秋は誰もを詩人にする(笑)
(写真は)
重陽の雨
薄墨色の空は
少し憂鬱そう

