有明のためらい
いざようように
ゆっくり出て
別れを惜しむように
夜明けの空に残る
有明のためらいよ
秋は月がことのほか美しい。
今朝5時45分ごろ、東の空にぽっかり月が残っていました。
薄いブルーがかった早朝の空にはかなげに浮かぶ月。
十五夜の翌日の月、そう「十六夜(いざよい)」の月ですね。
月齢15日目の十五夜(満月)は日没とともに東の空に昇り、
明け方に西の空に沈み、これ以降は月の出がおよそ50分ずつ遅くなります。
16日目の月は出てくるのをいざよう(ためらっている)ように見えるので、
「十六夜」と書いて「いざよい」と呼ばれています。
今朝の淡いはかなげな月は
ためらうように出てきた十六夜の月が
まるで別れを惜しむように夜明けの空に沈もうとするところなのね。
なんだか切ないラブストーリーを連想させる趣があったなぁ。
十六夜、つまり月齢16から月齢29までの月は
太陽の光を反射した部分だけが見える地球との関係から
夜が明けても朝まで残るため「有明(ありあけ)の月」とも呼ばれます。
「有明」とは「夜明け」という意味がある古語。
古典文学にはよくあらわれる「有明の月」、
おもに月齢20以降の細い月をさすことが多いようですが、
やはり、切ない恋と無縁ではないようです。
百人一首にもこんな歌がありましたね。
「今来ぬと言ひしばかりに長月の 有明の月を待ち出でつるかな」
作者は三十六歌仙の一人素性法師。
「『今すぐに参ります』とあなたは言ったのに、9月の夜長を眠らずに
ひたすら待つうちに夜明けの有明の月がでてきてしまったわ・・・(涙)」
有明の月は出る・・・あなたは・・・来ない・・・。
くすん・・・せ・・・切ない・・・待ち人来たらず・・・。
このように古典にあらわれる「有明の月」は
男性が女性のもとに通う平安貴族の恋愛事情を象徴するワード。
夜遅くに昇り、夜明けまで残る「有明の月」に
男性が夜遅く会いに来て夜明けとともに帰っていく様子をたとえているのです。
月と共に逢瀬の時間が終わる平安の恋、
有明の月がどこかはかなく切なげなのも、なんか納得。
令和の秋分の日。
朝まで残る十六夜の有明の月。
ゆっくりあらわれ、別れを惜しむように東の空にぽっかり浮かぶ。
千年前の都の恋をふと思う秋なのでした。
(写真は)
夜明けの東の空。
十六夜の月
有明の月
月が美しい秋

