家庭科パイ
今思えば、
あれが
最初で
最後の味だった
謎の家庭科パイ♪
晴れたり、雨が降ったり、
気温も上がったり、下がったりと移り気な空模様が続き、
日に日に秋が深まっていくのを実感します。
まったり午後のおやつ時間も秋に衣替え。
先日は夫が可愛いアップルパイをお土産に買ってきてくれました。
食べやすいミニサイズのアップルパイには
秋らしいさつまいものフィリングが入っていていと美味し。
パイ生地の芳醇なバターの香りがさすがにプロの技。
な~んて、サクサクのパイを味わっていた秋のひととき、
ふと、懐かしい、ある特別なアップルパイを思い出しました。
あれは高校の家庭科の調理実習でのこと。
確か高校3年生くらいだったな、はるか昔昔のお話(笑)
その日のお題が「アップルパイ」。
すでに目玉焼きも粉ふきいももカレーライスも既に実習済み、
最終学年ということで、難度の高いメニューが選ばれたのでしょうが、
今のような便利で手軽なパイシートなんてない時代だもんね
高校3年生が一から手作りするには相当ハードルは高い。
いきおい、家庭科の先生のご指導も熱が入っていて、
材料やレシピ、ポイントなどを詳しく説明されていた。
ふむふむ、りんごはあらかじめ甘く煮ておくのね。
そして、いよいよ、難易度が高いパイ生地の作り方だ。
パイ生地の製法にはにはサクサク仕上がる折りパイと
タルトのようなホロホロ仕上がりの練りパイの二つがありますが、
アップルパイは手間がかかる折りパイ方式で作ります。
ま、ざっくり、プロに任せた方が無難な高難度テク。
しかし、家庭科の授業、アウトソーシングはできない(笑)
折り込みパイ生地はフランス語で「フィユタージュ」と呼ばれ、
小麦粉を塩・水で練った生地「デトランプ」にバターの塊を繰り返し、
何度も何度も織り込んでいくことで幾重もの層が出来上がり、
バターの風味たっぷりサクサクの魅惑の食感が生まれるのです。
この小麦粉生地とバターの塊を織り込む作業が実に大変。
手早くしないとバターが溶けてくるし、
溶けないうちに折り込もうとするとバターが固くて上手くいかない。
そこで、家庭科の先生は、長年の試行錯誤?の結果、
ある驚くべき手法を、生徒に伝授したのです。
「皆さん、いいですか、固いバターはですね、
このように、裏ごし、して下さい!」
ウソっ!バ・・・バターの・・・裏ごし???
ろくに調理体験のない高校生でも、目が点になった(笑)
だが、白衣を着た先生(小柄なベテラン女性でしたが)は、
あらかじめ裏ごししたらしい少しふんわり感のあるバターの塊を
高々とかかげ、生徒たちに見せ、自信満々にこう宣言した。
「私、色々試してみましたが、この裏ごしバターが一番でした」。
そう・・・なんだ。先生がそう言うんだから、そうなんだろう。
とりあえず納得して、各グループに分かれて、
生まれてはじめてのバターの裏ごしをする。
これが・・・悲惨に近いほど(笑)超難しかった!
だって、バターですよ。
裏ごししようと木ヘラで抑えようとすれば、油分で滑って逃げるし、
細かい網の目にも、柔らかくなったバターがいちいち詰まるし、
難儀して時間がかかるから、バターはますますとけるし、
もう、大変だった記憶しかない。
先生はどんな魔術を使ってバターの裏ごしに成功したのか。
最後は裏ごしというか、溶けてほぼポマード状になったバターを
何とか、だましだまし、小麦粉生地に無理やり折り込んで、
何とか焼き上げたのだった。
生徒の誰もが、貴重な教訓を得た。
アップルパイは最初から固いバターで折り込むべし。
決してバタを裏ごしてはならない(笑)
焼き上がったアップルパイはすこぶる美味だったけど。
世の中にアップルパイは数あれど、
裏ごしバターのアップルパイを味わったのは
高校3年生のあの時が最初で最後だった。
超レアな家庭科パイ、懐かしいな♪
(写真は)
秋のミニアップルパイ
バターは、たぶん、
裏ごししていない(笑)

