10秒の幸せ
肩ひじ張らず
気楽に気軽に
ウケなくていい
なごめばいい
10秒の幸せ
人と人との接触がはばかれる時代。
ビジネスも私用もオンラインで話せば事足りる。
けれど、用件は足りても、なにか物足りない、なにか淋しい。
そうか、「雑談 減ったなあ」。
今日の朝刊オピニオン欄の特集テーマです。
用件はオンラインで手短に効率的に、が世の趨勢ですが、
そういえば、気が付けば、近頃とんと「雑談」していない、かも。
中身のないムダな話が無性に恋しい今日この頃にぴったりの話題です。
コミュケーションに関わる3人の論客のご意見の中で、
「声に出す日本語」でおなじみの明治大学教授・斎藤孝さんのお話が
印象に残りました。雑談は時間にすれば10秒から30秒。
あいさつプラスαが基本形だと考えているそうです。
そうか、10秒ほどでいいんですね。
日頃から雑談に苦手意識がある人も少なくないようですが、
「おはようございます」の後に「午後から降りそうですね」など
ほんの少しの言葉を付け加えるだけで、もう立派な雑談、
時間にすれば、10秒もかからないプラスαでOKなのです。
ただオンラインではこの雑談がしにくい。
リアルな対面と違って画面越しのため相手の反応がつかみにくく、
「みなさん、お集りのようですので、では会議に入ります」と
すぐ本題に入りたくなって、雑談がなかなか生まれない。
そこで斎藤教授のオンライン授業では出席の際、
一人10秒程度の近況報告「ひとこと雑談」をしてもらっているそうです。
「いまこの本を読んでいます」とか「実家に帰っています」とか、
たった10秒の雑談で、オンラインの場が少し和むといいます。
しかもその10秒雑談は中身のない話で構わない。
「『雑談』は話の面白さで引きつける『トーク力』とは違いますから
特別な話術は必要ありません」との指摘に大いに共感しました。
「雑談」はお互いの距離を温かく縮めるコミュケーションなのであって、
何か目的を持った「スピーチ」「プレゼン」ではないのですね。
ウケを狙おうとか、オチがなければとか、
なにか有益で中身のあることを言おうとか、そんなことは必要ないのです。
お笑い芸人さんのひな壇トークや情報番組のコメンテーターのご意見と
「雑談」は目的も役割も全然違う、ということ。
少しその場が和んで、ほっとできれば、それでいい。
特別なスキルも話術もスタンバイも仕込みも必要ないのだ。
「おはようございます」や「こんにちわ」や「お疲さまです」の後に
「あそこのあそこの新しいパン屋さん、行きました?」でも
「マスクの自販機、できましたね」とか「今日は道路すいてましたね」とか
「昨夜、○○の本面白くて寝ないで読んじゃいました」とか、
生活や趣味や季節や地域の情報の、ごくサワリ、でいいんですね。
オチもウケも教訓もなにもなくていい。
肩ひじ張らず気軽に気楽に、あいさつに続いて自然に出てくる10秒でいい。
体温のある雑談は、相手との距離を温かく縮めてくれる。
新しいパン屋さんと聞いて「うん、クロワッサン、めちゃ美味しかったよ」と
相手から思わぬ新情報がもたらされることもあるかも。
人と人の身体的、空間的接触がはばかれる時代だからこそ、
仲間や家族だけでなく、すれ違う程度の顔見知り、ご近所さん、
よく行くお店の店員さんなど周囲の人々と、せっかくの春ですもの、
「桜、早そうですね」10秒の幸せ、交わしたい桜人なのだった。
(写真は)
令和3年初の
「ゴーヤチャンプルー」を作った。
これも「雑談」のタネになる?

