春待小紅

凍てつく寒さも

頬打つ雪も

もうすぐおしまい

ほ~ら

春待小紅♪

春が立つ。

今日は2月3日、立春です。

こうして文字にするだけで心が浮きたってくる。

氷点下10度まで下がろうが、春は、ちゃんと来るんだもん。

朝のラジオ番組で2月のことを「春待月」と呼んでいました。

朝刊を読みながら聴いていたので最初は「はるまきづき」と聴こえて

頭の中で揚げたての春巻きが浮かんでしまいましたが、

すみません、「はるまちづき」ってちゃんと発音されてました(笑)

いい名前ですね~、春待月。

冬が長い北海道の暮らしにぴったり寄り添う言葉です。

「立春」とは名ばかり、じゃないんです。

北国の人々はわずかな日の長さ、日差しの柔らかさ、空の青さに

それは敏感に春の予感を感じ取り、ひたすら春を待ち焦がれるのです。

もうすぐ春、今年の新色口紅でも買おうかしら。

な~んて、かつて2月=春待月あたりの季節は

春の新色リップのTVCMなどを心ウキウキ眺めていたものです。

「ほ~ら、春咲小紅♪」なんてヒットソングもありましたっけ。

が、気がつけば、もう1年近く、口紅をつけていない。

感染対策のためのマスク生活がスタンダードになった今、

化粧品メーカーの広告も変化してきています。

「マスクをしても化粧崩れゼロへ!!」

朝刊に載っていたファンデーションの広告コピーです。

高カバー、高密着、サラサラ処方で、

マスクのメイク汚れに悩まない!

マスク裏に差が出る!

シミや毛穴もしっかりカバー! なんだとか。

あら・・・ちょっと良くない?

マスク裏のファンデーション汚れは女性共通の悩み、

ちょっと気になるわぁ~なんて思ったりするわけで、

新色リップのCMに心ときめいていた時代とは、様変わり、なのよね。

そんなコロナ時代、「『化粧をするわけ』どう思いますか?」。

朝刊の読者オピニオンコーナーがこんな特集テーマを組んでいました。

「ノーメイクでの就活2勝1敗」とか「素顔厳禁の職場規則に納得いかず」、

「化粧禁止」の校則に「自信つくのになぜダメなの?」という女子高生、

また男性からの「自分が変わる心地よさ体験」などなど、

世代、性別問わず色々な意見が掲載されていました。

特に心に残ったのが東日本大震災を体験した50代の女性のお話です。

石巻市で被災した女性は、「あの日、すっぽり流され、

「何より困ったものは化粧道具一式とめがね」だったそうです。

すべてが一変した「モノクロの街」で物資の運搬、水汲みなど頑張りましたが、

「すっぴんと外出という最も恐ろしい現実に、心が折れそうでした」。

他人は気がついていないだろうけれど、自分自身は恥ずかしい。

そんないたたまれない10日間を過ごし、ようやく、

行列ができたドラッグストトアで化粧品を買いそろえ、

翌日から化粧をして避難所に向かったそうです。

甚大な被害を受けた被災地で「紅をさす」という行為が

反感やねたみの対象になるかもしれなかったけれど、

これで「いつも通りの自分を取り戻し、うつむかずにいられる」。

10年前の春の、被災地での口紅のお話に、胸が詰まりました。

マスク生活が長引き、いつ外せるかもわからない。

唇に紅をさした瞬間、ぱっと気分が華やぎ、

心にプラスのスイッチが入る感覚からもう1年近く離れてしまって、

春の新色リップのCMもとんと見かけなくなってきた春待月。

でもね、化粧品・美容のポータルサイト「@cosme」では

書き込み口コミ数が前年より29%増えたのだそうです。

感染防止で店頭で化粧品のテスターが使えなくなったり、

美容部員が肌に触れるメイクサービスができないため、

口コミを求める人が増えたことが要因とか。

そうなのだ、口紅をさす機会はぐんと減ったけれど、

私たちは化粧する楽しさ、化粧からもらえるポジティブエネルギーを

忘れたわけでも、捨て去ったわけでもないんだ。

メーカーもマスクにつきにくいファンデや口紅を売り出している。

春立つ日、家の中で、ちょっと、紅をさしてみようか。

鏡の中の自分に笑いかけてみようか。

春待小紅。

春は、絶対、来るから。

(写真は)

オレンジ色の

ラナンキュラスが

窓辺で春を待つ。

外は雪でも心は春待。