地下鉄に乗って

地下鉄に乗って

札幌から京都へ

その気になれば

どこでも行ける

旅はできる

先日、京都でコーヒーを楽しみました。

いや、正確には、「コーヒ」をね♪

それも、地下鉄に乗って、札幌から京都へ。

ちゃんと京都のコーヒ時間を満喫できちゃうのです。

うふふ、行先は「イノダコーヒ」札幌大丸店。

1940年創業の「イノダコーヒ」は京都に本店がある老舗喫茶店、

ほとんどの店舗は京都にあり、関東でも東京と横浜に1店舗ずつだけ。

遠い札幌にいながら京都のイノダコーヒを味わえるのはかなり幸せ。

飛行機に乗らずに京都へ旅気分がしばし満喫できるのです。

駅前で用事を済ませた後、大丸7階にあるお店でちょっとひと休み。

ああ、デパートに来るのも、ここへ足を運ぶのも、超久しぶり。

赤いビロード張りの椅子やソファ、重厚な色合いの壁や天井、

クラシックな空間は変わらず居心地がよく、ほぼ満席ながら、

お客さんはみな静かにゆったり「コーヒ」を楽しんでいました。

はい、そうです。冒頭からしつこく「コーヒ」と書いております。

京都ではかつてどこの喫茶店も「コーヒ」と表記していたそうで、

今もその習慣を守り「イノダコーヒ」が正式な店名となっており、

つまり、京都に「イノダコーヒー」は存在しないのです(笑)

空間も店名も京都クラシック、なのねぇ。

イノダに来たら、注文するのはいつも決まっていて、

代表銘柄のブレンド「アラビアの真珠」のミルク&砂糖入り。

普段はブラックしか飲みませんが、

イノダに来た時だけは例外、タブーを破るのです(笑)

イノダのコーヒはミルク&砂糖入りが基本。

もちろん店員さんは注文時にお好みを丁寧に訊いてくれますが、

お客さんから特段のリクエストがなければミルク&砂糖入りで提供されます。

これも開業時から続くイノダの伝統、ですね。

なんでも創業当時、お客さんが話に夢中になってコーヒが冷めてしまい、

ミルクと砂糖がうまく混ざらなくなったことがきっかけで、

初めから砂糖ミルク入りで出すようになったと言われています。

熱々の濃いコーヒがまろやかにやさしくなって、これが美味なのよねぇ。

イノダの砂糖ミルク入りコーヒを飲むと、

いつも、昭和の茶の間にタイムスリップ、日曜日の朝を思い出します。

ストーブの上に餅焼き網に載せて焼いたトーストにバターを塗って、

お砂糖たっぷり入れたインスタントコーヒーと一緒に頬張ったっけなぁ。

トーストには餅焼き網の格子模様の焦げ目がついていて、

溶け切らないバターの小さな塊がその焦げ目の亀裂に挟まったりしていて、

バターのあるところとないところのバランスをとりながらかじっては

甘いコーヒーをふーふー冷ましながらすすった幼き日。

ふだんは子どもには飲ませてもらえないインスタントコーヒーも

日曜日の朝のトーストの時だけは、例外だった。

コーヒーの香りや苦みはたっぷりのお砂糖でほぼ別物になっていたけれど、

カップの取っ手をちょっと気取って持ったりして、

おかっぱ頭の気分はいっちょまえの「大人」だった。

札幌で京都のコーヒを味わったひととき。

ほのかに甘くてミルクの風味が優しい熱々の一杯は

京都経由で懐かしい子供時代の日曜日の朝への時間旅行へ誘ってくれた。

こんなほっとする時間は、いいものだ。

地下鉄に乗って。

京都にも行ける。

あの日曜日にも戻れる。

旅は、いつでも、できる。

(写真は)

イノダコーヒ札幌大丸店にて

「アラビアの真珠」と「ファイゲトルテ」

いちじくのワイン煮とくるみたっぷりの

優しい甘さのドイツ風焼き菓子。