月と三寸
青い莢から
ぷちゅっと
お口へダイブ
朱夏と白秋、
月と三寸
今日で8月も終わり。
月の最終日を尽日(じんじつ)と呼ぶため、
今日8月31日は八月尽になるそうで、北海道新聞の「卓上四季」が
中村草田男のこんな一句を紹介していました。
「八月尽の赤い夕日と白い月」
「朱夏が沈み、白秋が顔を出す。8月がいよいよ尽きる」
う~ん・・・卓上四季氏の文学的センスが光りますねぇ。
五行思想で赤色を夏、白色を秋に配することから
朱夏=夏、白秋=秋の異称とされていますが、
こんな趣ある季節の言葉をすっと口にする大人は素敵です。
「ゆく夏に 名残る暑さは夕焼けを 吸って燃え立つ葉鶏頭」。
さらにユーミンの「晩夏」の歌詞も紹介していました。
そういえば一気に気温が下がった昨日の日曜日、
雨の中を歩きながら、夫がこの歌をハミングしていましたっけ。
一瞬、何の歌かわかりませんでしたが(笑)、
どうやら「晩夏」だったらしい。
夏と秋がすれ違うこの季節。
私は嬉しい到来物に朱夏から白秋へにバトンタッチを実感しました。
夫の故郷新潟から届いた名産の「黒埼茶豆」です。
茹でるとなんとも芳しい香りがたち、噛むほどに旨みと甘みが広がる
枝豆界のレジェンドの旬は、まさに今、この季節。
ああ、今年も黒埼茶豆がやってきた。
ゆく夏を送り、秘かな秋の足音が聞こえてくる季節なのね。
鮮やかな緑色の莢に塩を振ってこすり合わせ、茶色の産毛を落としたら
グラグラ煮え立つ熱湯へ塩を加え一気に茶豆軍団を投入。
ぱっと緑の莢が一層その色を鮮やかになる。
と同時に・・・あああ・・・この香りだ・・・!
香ばしい・・・上質なお茶を焙じているような・・・独特の香り。
おっと、うっとりしている暇はない、茹で過ぎは禁物。
さっとザルへあげ、熱々のところへ化粧塩をふったら・・・
後は、冷蔵庫のオリオン缶ビールとグラスをスタンバイ。
熱々の黒埼茶豆が富士山のように山盛りになった器を食卓へ。
プルタブをプシュッ!グラスへ注ぎ、茶豆をぷちゅっとお口へダイブ、
冷え冷えキンキンのビールを喉へ流し込む。
ぷはぁ~~~!お豆、うまぁ~!甘ぁ~!
夏の終わりのこの瞬間、我が家が極楽になる。
黒埼茶豆の唯一の危険性は美味しすぎて止まらないこと(笑)
「これで最後!」「もう食べない!」と言いながら、
ついつい、ひとつ、もうひとつ、緑の莢をつまむ手が止められない。
枝豆は、そして、楽しい。
食べていると、なんだか愉快な気分になる。
緑の莢からぷちゅんとお豆が飛びだしお口に飛び込むさまは
朱夏から白秋の季節ならではのアミューズメントかもしれない。
食いしん坊だった正岡子規はこんな句を詠んでいます。
「枝豆や三寸飛んで口に入る」
無邪気に口を開けて枝豆を楽しむ俳人の姿が目に浮かびます、が、
ん?三寸・・・って・・・どれくらい?
え~っと一寸は約3cm、正確には3.03cmですから
三寸=3.03×3=9.09cm。
ちょっと試しに口元に物差しを当てて9cmほどを計ってみると、
人差し指の長さ以上に離れた距離からお豆をダイブさせたことになる(笑)
子規の遊び心が垣間見えて、うふふ、楽しい一句でありますね。
枝豆は十五夜から十三夜の頃にお月さまに供えたことから
別名「月見豆」とも呼ばれるそうです。
もうすぐ満月、まんまるになっていくお月さまを眺めながら、
旬の枝豆を三寸飛ばして味わう八月尽。
月と三寸、の季節です。
(写真は)
枝豆界のレジェンド
新潟の黒埼茶豆
緑の富士山なり(笑)

