1300度の美

坂の上の

その先の太陽に向かって

幾つもの窯が連なる

南国登り窯で生まれた

1300度の美よ

美しく逞しく大らかな器たちが

春を迎えた北国に届きました。

遠い地で働く息子からの思わぬ贈り物です。

多分、きっと(笑)ちょっと遅めのバースデープレゼント。

不器用でしかも忙しい男の子が母親の誕生日の朝に

電話をくれたことだけでも「奇跡」なのに、

今年は何と愛してやまない沖縄のやちむんを贈ってくれた。

「奇跡」を超えた超ド級の嬉しさに母は感涙にむせぶ(笑)。

ありがとう、息子よ。

丁寧に梱包された箱から姿をあらわしたのは・・・

おおお~、大好きな「北窯」のやちむんではありませんか。

沖縄本島読谷村の3000坪の敷地に4人の職人が開いた共同窯。

民藝を貫く彼らが追求する生活の器は沖縄やちむんのシンボリックな存在。

息子よ、母の好みをよくわかっておるな。

宮城正享さんのシック&モダンな大皿と

松田共司さんの愛らしい四寸皿。

大らかな筆遣いの文様が映える焼き締めの大皿と、

琉球伝統の点打ちで描かれた梅紋や巴紋の四寸皿。

作家が違うのに作品はしっくり寄り添うのが「北窯」らしい。

その歴史は1992年、沖縄の読谷村文化村構想により、

琉球の伝統工芸拠点をめざし「ゆいまーる(相互扶助)」の精神で

松田米司、共司、宮城正享、與那原正守の4人がが共同で開窯したのが始まり。

最大の特徴は沖縄県内最大規模とされる勇壮な13連房の登り窯。

読谷村の自然な丘陵が織りなすゆるやかな斜面を利用して

坂の上のその先の太陽に向かって13房の窯が連なる様子は荘厳です。

それぞれの工房で作陶に励み、年に5度ほど共同で火入れ。

燃焼温度は1200度から1300度、60時間から80時間焼き、

火入れの日から窯出しの日まで寝ずの番で炎を見守るのです。

1300度の炎が生み出した器。

ひとつひとつ手作業で作陶し、登り窯で焼くために、

火の強さによって歪みが生じることもあります。

この歪みも個性としてつつみこむ大らかさがやちむんの魅力。

焼き締めの大皿もほんのわずかの歪んでいて、

それがなんとも人間らしい温かな味わいをかもしだしています。

真っ直ぐじゃない、完璧じゃない、だから、器が生きている。

出会ってすぐに友達になれる。

おおらかなやちむんが大好きだ。

4人の感性が刺激し合って器の個性が生まれる北窯。

「やちむんは民衆が作る工芸、北窯はブランドではなく窯の名前に過ぎない」。

雑誌のインタビューで彼らが語っていた言葉が印象に残っています。

「よいものでも使われなければただのゴミ」とも。

「用の美」をこれほど直截に表した言葉もそうないと思う。

棚の上にあがめたてまつる美術工芸品よりも

時代時代に即して人々が使いやすい、使いたくなる器を。

春の沖縄から届いた「北窯」のやちむん。

さっそく季節の果物と自家製杏仁豆腐を盛り付けて

春の午後のティータイムを楽しみました。

1300度の美は

仕舞いこまないで。

使って使ってと

言っている。

(写真は)

北窯のやちむん

宮城正享さんの大皿と

松田共司さんの四寸皿。

お料理にデザートに大活躍しそう♪