注と平和
一里、三尺
女中、カラー
数えてみれば
20の注
注と平和。
昨日から大学入試センター試験が始まりました。
来年からは「大学入試共通テスト」が始まるために
今年が最後となるセンター試験の志願者は55万7699人、
昨年より1万9131人少ないそうで、
少子化を物語る数字のひとつ、かもしれませんね。
初日は地理歴史と公民、国語、外国語の試験が行われ、
受験生の目覚まし時計が鳴ったり、会場の蛍光灯が切れたりなどの
アクシデントがあったようですが、概ね大きなトラブルはなく、
今日2日目は数学と理科の試験が行われます。
全国の受験生の皆さん、自分の力を存分に出して下さいね。
そして、昔々の受験生(笑)は毎年恒例の「頭の体操」、
朝刊に掲載されているセンター試験「国語」の問題にチャレンジ。
来年以降の共通テストがどんな内容になるのかわかりませんから、
このセンター試験チャレンジも、今年で最後、ってことねぇ。
で、解いてみた感想は、なかなか歯応えがありました。
特に現代文は第1問、第2問とも問題文がかなり長く、
普段ツイッターなどの短文に慣れている世代にはヘビーな印象。
来年の共通テストの国語と数学から記述式がなくなった影響から
読解力が必要な問題が増えると予想されていますが、
今年の問題文の長さ、ボリュームにその傾向が表れているのかも。
でもね、どちらとも、読み応えのあるとてもよい題材だと思います。
第1問の河野哲也「境界の現象学」から出題。
「レジリエンス」という新たな概念について問うもので、
絶えず変化する時代にどう対応していくべきか、
ふんふん、なるほどなるほど、そういうことねぇと、
非常に興味深く読ませる優れた論説文、でありました。
「サスティナビリティ」とか「ダイナミズム」「物性科学」など
頻出するカタカナ用語や難解な用語は、
ちゃんと問題文の末尾の「注」で意味が書かれているので、
あせらずに、じっくり読み解けば、回答できると思われます。
さらに第2問の小説は原民喜「翳(かげ)」より。
なんと・・・試験問題を読んで・・・思わず涙がにじんだ。
敗戦が色濃くなった1944年を起点に「私」の家と交流があった、
魚屋の青年が戦争に翻弄されていく人生を描いた作品で、
もうね、最後の一行で、問題文が涙でぼやけた。
問題作成者は本当によい作品を選んでくれたと思います。
本を読まない、読書機会が減った言われる若い世代にこそ、
こういう文学作品に触れてほしいと。
こんな戦争があって、君たちと年齢の変わらない若者の人生が
夢や希望もあったのに、こんな風に絶たれていったんだと
知ってほしいなぁとしみじみ感じました。
と同時に、問題文の最後の「注」に時代を実感。
第1問は「注」は8個、でしたが、
第2問の原民喜「翳」に関する「注」は、20個もあって、
「露次」や「逢遭」など作者独自の表記や難しい漢語のほかに
「御用聞」や「女中」なども注釈されていました。
確かにね~、コンビニやスーパーしか知らない受験生、
へ?「御用聞き」って、「女中」って何?ですよね。
お勝手口から御用聞きが気軽に出入りしたり、
女中さんが奥様のお使いに出たり、なんて、
もはやドラマや映画でしか見ないもんねぇ。
さらに「注」は続く。
「入営」「教練」「除隊」「赤襷(たすき)」。
そうか、戦争に関する言葉も「注」が必要なのねぇ。
それだけ長く平和が続いているということではありますが、
もし本に親しんでいれば、受験生世代でも
どこかでこんな言葉に触れている、かもしれない。
でも、センター試験の問題文にするなら、注釈は必要だよね。
戦争に関する言葉など、本当は消えてなくなればいいけれど、
二度と過ちを犯さないためにも、平和を維持するためにも、
この国の歴史を知ることも大切なわけで。
最後のセンター試験、20の注に平和を想う、朝、でした。
(写真は)
センター試験2日目の朝。
札幌は青空、
穏やかな試験日和。
未来を創る受験生、
がんばれ~。

