事実と真実
これは本当か?
ひとつひとつ裏をとり、
事実をひとつひとつ積み重ね、
やがて壮大な嘘が浮かび上がり、
「真実」が見える。
令和初日の昨日、
新天皇陛下の即位当日の関連儀式をテレビで見届けた後、
気になっていた映画をシアターキノで観てきました。
「記者たち~衝撃と畏怖の真実」であります。
2002年「大量破壊兵器を保持している」として
イラク侵攻に踏みきろうとしていたアメリカ政府の「嘘」を
徹底した取材で暴いた4人の記者たちを描いた実話です。
都合の悪いメディアの報道を
「フェイクニュース」とこき下ろす大統領が誕生する10年以上前に、
アメリカ政府は国民や世界を欺く「嘘」をねつ造し、
大義なき戦争へ突入していったことに今更ながら、驚き、戦慄すると同時に、
国中が異様な愛国心にたぎっていた当時の潮流に飲み込まれず、
ジャーナリストとしての軸足を決してぶらさずに
真実を追求した記者たちがいたことに、感動し、ほっとしました。
「イラクは大量破壊兵器を保持している」。
これは、本当か?
政府の言うことを鵜呑みにせずに、まずは「裏を取れ」。
中堅新聞社ナイト・リッダーのワシントン支局長ジョン・ウォルコットは
部下のジョナサン・ランデー、ウォーレン・ストロベルに取材を指示、
さらに伝説的な戦争特派員出身のジャーナリスト、ジョー・ギャロウェイに
若手記者たちのサポートと取材協力を仰ぐのでした。
ひとつひとつ事実を探り、確認し、積み重ねていく記者たち。
しかし一向に大量破壊兵器の「証拠」は見つからない。
彼らの膨大な取材メモ=事実の積み重ねが示しているのは
政府のねつ造、情報操作という「真実」だったのだ。
たどりついた「真実」を伝えるために批判記事を送り出しますが、
NYタイムスやワシントンポストなどの大手新聞社はじめ
殆どのメディアの報道は軒並み政府の方針を追認する内容ばかり、
愛国心がうねる当時の世間から孤立していく記者たち。
しかし、ベトナムの悲劇をまた繰り返すのか?
大義なき戦争を止めるのは「真実」の報道しかない。
ハイレベルの政府高官が大手メディアしか相手にしない中、
彼らはあらゆる政府機関の末端で働く現場の人間たちを直撃していく。
たとえば、「嘘」の現場の向かいのオフィスで働く情報分析官。
名前も職場も明かせないという取材相手に短く的確な質問を繰り出し、
ぐいぐい真実に迫っていく。
やがて、取材相手の口から、大量破壊兵器なんて
「クソ絶対ない!」という言葉を引き出すのだ。
ちなみに字幕監修は池上彰氏。
こんなお上品(笑)なスラングもOKされたのね。
こうした事実を積み上げた先に「真実」があるんだ。
この映画はジャーナリズムの原点を圧倒的な事実で教えてくれると同時に、
巨大な権力を持つ組織の中にも
「真実」を裏切れない人たち、「嘘」を見逃せない人たち、
民主主義のために勇気を振り絞る人たちがいることを伝えてくれています。
人間は壮大な嘘をねつ造することもあるけれど、
同時にその嘘を許せないのも人間だってことだ。
スマホで情報を取るのは便利だけれど、
気が付けば自分に都合のいい情報ばかり触れているのかもしれない。
「それは、本当か」
視野を広げて、感じるだけじゃなく、考えること。
「記者たち」が教えてくれた。
(写真は)
令和初日の号外。
映画館に行く途中で配っていた。
記者さんたちに10連休はない、ね。
お疲れさま、です。

