喉が喜ぶ蕎麦
雪ありて水あり。
人ありて技あり。
織ありて・・・。
雪国が生んだ
喉が喜ぶ蕎麦よ。
本日も台湾リポートに替って雪国のお蕎麦のお話を。
生まれて初めて食べました!
新潟名物「へぎそば」。
夫の故郷の名物蕎麦、なかなか食べる機会がなかったのですが、
昨日、札幌三越で開催中の「大新潟店」のイートインで
ようやく本物にお目にかかることができました。
C・イーストウッド監督の最新作「運び屋」を観る前に
少し時間があったので、夫と三越で待ち合わせで新潟名物ランチ♪
出店している小嶋屋のイートイン会場は連日行列だそうですが、
幸い、昨日はギリギリ並ばずに座れました。
注文したのは潔く「へぎそば」二人前。
天婦羅も日本酒も要りません(笑)。
そばだけを潔く味わいます。
最初に出された蕎麦茶の香ばしさに期待が膨らむ。
「お待たせしました~、へぎそば2人前ですね~」。
目の前にそれは美しい蕎麦の芸術品が運ばれてきました。
長方形をした独特の木の器「へぎ」のうえに
淡い緑のお蕎麦が一口ずつさざ波のような文様を描いて盛られている。
こんな綺麗な盛り付け方、初めて見ました。
これぞ新潟名物「へぎそば」。
「へぎ」とは「剥ぐ=はぐ=へぐ」が語源で、
木を剥いだ板を折敷にした蕎麦が盛られた器のこと。
文様のように美しいお蕎麦をそっと箸でたぐって、
蕎麦猪口のおつゆにつけて、いざ実食。
つ・・・つるつる、つるつる、つるつるる~~~!
なんじゃ、この喉越しは!!!
気持ちいい、あまりに気持ちよくて、喉が悶えている(笑)。
清冽な雪解け水のごとく、冷たいお蕎麦がつるつると喉を通り抜け、
しこしこ、しこしこと独特の歯応えとコシの強さに顎が喜ぶ。
このつるつるとしこしこは・・・人生初体験だ。
なんて心地よいお蕎麦なんだ。
そのワケは小島屋さんのパンフレットを読んで納得。
「雪ありてこの水あり。人ありてこの技あり。織ありてこのそばあり」
越後魚沼の厳しくも美しい山紫水明の恵みが美味しいコシヒカリ、
美しい織物、そして最高級のこのへぎそばを生んだのです。
独特の喉越しはお蕎麦のつなぎに布乃利(ふのり=海藻)が使われているため。
「なんで雪国で海藻のふのり?」と新潟出身の夫も?顔(笑)。
実は織物の糊付けにふのりが使われていたため。
さらに一口ずつ美しく盛り付ける方法も「手繰り」と呼ばれ、
織物をする時に糸を撚り紡いだ「かせぐり」の動作に由来するもの。
日本全国に名物蕎麦は数あれど、これほど美しい織の目に模した蕎麦は
清冽な雪解け水が生んだ織物王国越後のへぎぞばだけ。
へぎぞばは、目と喉が喜ぶお蕎麦だ。
つるつる、つるつる、夫婦並んでへぎそばをすする。
「そういえばさ、親父が危篤で新潟の病院に駆けつけた時にさ、
小康状態になった時にね、病院の近くでお昼に食べたんだよな、へぎそば。
弟と一緒にさ、そんな時なのに、うまいうまいってね」。
30年前のほろ苦い記憶を笑いながら問わず語りする越後人。
だよね、どんな時でも人は腹が減る。
どんなに悲しくても、うまいそばは美味い。
だから、人は、生きていけるんだよね。
泣いて、食べて、笑って、食べて。
家族の思い出はいつも食べ物とつながっているものだ。
さあ、ごちそうさまでした。
90歳の運び屋は
ハンドル握りながら何を食べていたのかな。
映画「運び屋」上映時間が近づいた。
C・イーストウッドに会いに行こう。
(写真は)
喉が歓ぶ蕎麦。
新潟名物「へぎそば」。
越後へおいでの際は
一度ご賞味あれ。

