迪化街町家
奥へ奥へ奥へ。
進むたびに
景色が変わる。
歴史ある迪化街の
伝統的町家。
年末年始野宮的美味台湾旅リポート。
旅の三日目、2019年元日も冬の台北を街歩き。
朝一番に龍山寺で初詣、壮麗な「総統府」を見学した後は
清代末期から淡水河交易で栄えた「大稲埕」現在の「迪化街」へ。
台湾で最も栄えた問屋街で伝統菓子や台湾産の竹製のカトラリー、
ドライフルーツやナッツなどをゲット、
燕の巣やふかひれとともに北海道産昆布が並んでいる光景に
台湾と北海道の美味しい関係も発見しました。
MRT「大橋頭」駅から南下する穴場ルートでの散策も
そろそろ賑やかな中心エリアの差し掛かってきました。
豪商たちによる美しいバロック様式や中洋折衷様式の建物が並ぶ街並み。
ここらへんに・・・注目のプロジェクト物件があるはず。
台北リノベーションブームの先駆けとなったあの集団が手掛迪化街けた、
あの物件・・・あった!ここだ。
賑やかな通りに面して建つ築100年を超える歴史的建造物。
狭い間口の奧の奧へ連なっていく特徴的な構造の内部は
超ハイセンスな陶器ショップやカフェとなっています。
ここが2012年にオープンした「民藝埕(ミンイーチョン)」。
迪化街エリアで先端的なリノベ物件を運営管理する集団「世代群」が
この街がリノベタウンとして脚光を浴びるきっかけとなった、
「小藝埕」に次いで手がけた注目のスポットなのであります。
1920年代の日本統治時代に建てられた建物は
狭い間口から奥へ奥へと続く「三進式」といわれる長屋スタイルが特徴。
京都の町家のようなウナギの寝床的構造に日本建築の影響が見られます。
通りに面した場所から奥へ向かって「一進」「二進」「三進」と続くらしい。
歴史的建造物に指定されているため大規模な改修は禁止されていて、
昔のままの骨格を保ちながら現代的なセンスでリノベーションした、
「世代群」の仕事が高く評価されているというわけですね。
百聞は一見にしかず、さっそく中へと入ってみましょう。
一つの「民藝埕」のそれぞれの進にそれぞれのショップがある形。
まず1階の一進にあるのが「陶一進」。
老舗茶問屋が多い迪化街らしい茶道具中心の陶器ショップに並ぶのは
シンプルでスタイリッシュながら使い勝手の良さそうな器たち。
う~む・・・どこかで出会ったような気がすると思ったら、
日本の民芸運動の創始者柳宗悦を父に持つインダストリアルデザイナー、
柳宗理の作品群でありました。
なるほど、「民藝埕」というネーミングの意味がわかりました。
建築構造からショップ構成まで空間コンセプトに貫かれているのは
「用の美」に象徴される民藝運動の魂。
無駄な装飾や豪奢を誇るような飾りを排した洗練された空間が
本当にカッコよくて素敵で、居心地がいい。
一進、二進、三進をつなぐのが開放的な中庭。
「陶一進」を出ると冬の小雨が上った小さな青空がぽっかりお出迎え。
その向こうには台湾作家の作品が並ぶ「陶二進」になっています。
中庭がそれぞれのショップを有機的につなく「三進式」構造、
それぞれの個性を尊重しながらゆったりつながることを好む、
現代的な価値観に自然にフィットした建築構造と言えます。
「陶二進」の先にはまた中庭があって、
一番奥の三進にあるのが超お洒落なカフェバー「Le Zinc洛」。
アンティークな木の家具がゆったりと配置され、
趣味の良いBGMが流れる抜群の空でワインの一杯でも傾けたくなる。
デートや一人のんびり思索に耽るにもぴったりのお店ですが、
ここに至るまでには「陶一進」「陶二進」と
別のお店を素通りしなければなりません(笑)。
でも、その町家的構造こそが
街と人と時代をつなぐ今日的迪化街の魅力。
通り抜けも、素通りも、ちょっと休憩も、じっくりお買い物も大歓迎。
人が行きかえば、また新しい文化が生まれる。
百年街を見続けてきた迪化街町家。
都市再生のヒントが詰まった台北プロジェクトでありました。
(写真は)
迪化街「民藝埕」の中庭。
二進と三進をつなぐオアシス。
水盤に泳ぐ小さな魚に
お洒落スタッフが餌をあげていた。
生きているリノベーション、だね。

