萬華ラビリンス
街中に忽然と現れる
二つの市場を冠する門。
屋根付きの細い一本道は
ローカル度200%、
ラビリンスへの入り口。
年末年始野宮的美味台湾旅リポート。
2日目は12月31日、2018年の大晦日を台北街歩きで過ごしています。
朝一番で台北最古の古刹龍山寺に参詣、旅の無事や来る年の家内安全等を祈り、
冬の台北らしい小雨そぼ降る中、下町情緒あふれる門前町をぷらり散歩。
200年前の清朝時代の美しい建物群「剥皮寮歴史保全地区」でしばし時間旅行、
淡水河の交易で栄えた萬華地区の繁栄の時代に思いを馳せました。
台北の街は無料でタイムトラベルし放題(笑)。
台北グレーの空の下、静かにしっとり佇むレンガ造りの「剥皮寮」は
どこを切り取っても画になる超インスタ映えポイント。
名作映画「モンガに散る」のロケ地としても知られていて、
CM撮影やブライダル撮影も良く行われ最近注目度がアップしている場所。
ガイドブックではまだ小さな扱いですが、かなりおすすめ。
台北の若者のデートスポットとして人気らしいよ。
おっと、200年前の清朝時代から現代へ戻らなくては(笑)。
趣ある「剥皮寮」を後に、車が行きかう康定路を南へ下ります。
お?おおお~っ、何だ?この不思議な門は?
現代的な街並みに忽然と迷宮へと続く一本道がぽっかりと口を開けていた。
屋根がある超ローカルなアーケード付きの市場のようだ。
周りの風景と門の向こうは流れる時間の速度が違うようにさえ見える。
どこか沖縄の那覇の市場にも似た風景ですが、
さらに不思議なのは門に二つの名前が記されていること。
「新富市場」「東三水街市場」
う~ん?どういうことだろう?道は一本なのに二つの名前。
実はここも台北の原風景を伝える貴重なエリア。
リノベーションされ現代に蘇る市場と現役のまま残る昔ながらの市場、
二つのオールド台北が対照的に隣り合っている興味深い場所なのです。。
大戦前の1935年この萬華区三水街に公設市場として創業したのが
「新富町食料品小売市場」。
レンガ造りと石壁で建てられた馬蹄型の独特な建築スタイルは
当時の公設市場のモデルとなり、台湾人も日本人も日々買い物に訪れ、
大変な賑わいをみせましたが、戦後は大型スーパーなどの進出などで衰退。
しかし唯一現存する戦前の公設市場として2006年に台北市の史跡に指定され、
全面的リノベ―ションが行われ、2017年「新富文化市場U-mrt」として再生。
昨今の台北リノベブームの成功事例の一つなのでありました。
リノベされた新富市場はかつての公設市場だった空間が
ギャラリーやオフィス、クッキングスタジオやカフェなどに生まれ変わり、
最先端のセンスによる現代建築と伝統市場のコントラストが
新たな調和を生み出すスポットとして注目されているのです。
と、いうことを、帰国してから、知りました(笑)。
実は今回の裏テーマ、写真以外はスマホに頼らない旅を続けていたため、
地図と本能と勘だけでぶらり街歩き、不思議な門だな~と思いながら、
予備知識ゼロで迷宮の入り口のような市場に足を踏み入れたのでした。
大人がすれ違うのがやっとの細い一本道の両側には
果物屋、肉屋、魚屋、肌着屋、洋服屋、雑貨屋、乾物屋、総菜屋・・・
暮らしに必要なお店がぎっしり、無秩序な順番で肩を寄せ合っています。
那覇の牧志公設市場の奥に続くローカル市場の雰囲気によく似ている。
大好きだ、こういう暮らしの匂いが濃厚な混沌が、たまらなく好き。
で、これも後で判明したのですが、
ここはかつての新富市場の旧正門と隣り合う「東三水街市場」。
リノベされた「新富文化市場U-mrt」のカフェには
焼け残った当時の門がそのまま置かれているらしいのですが、
新富市場自体は市場としての機能はすでになく、
門の看板にのみ「新富市場 東三水街市場」と二つの名前が記され、
その名が残されているのだそうです。
へえ~、そうだったのか~。
どうやら、あの迷宮のような市場の一本道を突き抜けたら、
リノベーションされた最新スポット「新富文化市場U-mrt」だったらしい。
まあ、いいか。混沌アジア好きの旅人してはお洒落なカフェよりもいいけれど、
昔ながらの暮らしが垣間見える濃い市場の方がわくわくするもんねぇ。
本能がこの迷宮へと誘ってくれたってことで(笑)。
それにしても
最先端のデザインセンスで生まれ変わったリノベ空間と
時の流れが止まったようたような昔ながらの混沌市場、
二つの対照的なオールド台北が共存している風景が実に面白い。
多分、日本の再開発プロジェクトだったら全面的に
そっくりリノベしそうな気がするけれど、
ここは濃厚な暮らしの現場がちゃんと現役で生き残っている。
二つの名前を冠する
不思議な市場。
さあ萬華迷宮へGO。
素顔の台北が待っていた。
(写真は)
「新富市場 東三水街市場」
リノベされた市場と今も現役の市場。
二つ並んだ名前が
時間の流れをリスペクトしている。
街を知るには、市場へ行こう。

