時をあじわう

雨の日も

晴れの日も

風の日も

畑で頑張った実りの甘み。

時をあじわう。

昨日は街中で夫と待ち合わせ。

久しぶりにお外でランチを楽しんだ後、

紅葉が美しい道庁赤レンガ庁舎の前庭を散歩。

色づいた銀杏があたりを一面黄金色に染めていました。

今年は初雪も遅いせいで、この景色を長く楽しめますね。

こんな季節のデザートは和の甘味でありましょう。

てなわけで、赤レンガ庁舎のほど近く、

なかなかいく機会がなかった六花亭札幌本店ビルへ。

広々と明るい1階のお菓子売り場の階段を上って2階の喫茶室へ。

真っ白な調度に六花亭プリントのクッションが愛らしいインテリア。

ちょうど午後のお茶時間とあって、少しだけ待ちましたが、

すぐに席に案内されました。

店内の奧は一面のガラス窓になっていて明るく開放的。

テーブルの間隔もゆったりと配置された空間は居心地抜群。

さあ、何をいただきましょうか。

いそいそメニューを開くものの、迷う間もなく(笑)

季節限定の栗ぜんざいと定番のクリーム白玉ぜんざいに決定。

空間がゆったりしていると、待つ時間も楽しくなってなってきますね。

「お待たせしました、栗ぜんざいです」。

黒塗りのお盆の上に蓋つきのぜんざいのお椀と塩昆布、

そして淹れたての焙じ茶が添えられ、香ばしい香りが立ちのぼっています。

六花亭の喫茶室では間違って薄い番茶などが出てくることは絶対あり得ない。

いつお邪魔しても、お汁粉やぜんざいに添えられるのは薫り高い焙じ茶。

細部の細部までお客様へのおもてなしの心が行き届いています。

お椀をふたをそっと開けると・・・

ほほぉ・・・水墨画を思わせる上品な薄墨色。

ふわりと今年収穫された新小豆の香りが鼻をくすぐります。

ふぅ~っと冷ましながら熱いぜんざいを口に含むと、

あああ~、小豆よ、ありがとう!キミはなんて美味しいんだ。

おおお~、栗よ、ありがとう!キミはなんて優しい甘さなんだ。

小豆も栗も一から丁寧に手を施されて喜んでいるのが伝わってくる。

収穫への感謝がこのひと碗に凝縮されている。

そうだ、小豆を味わえる幸せを、

もっともっとかみしめなくてはならないのだ。

「あんこ 甘くない実情 不作で小豆高騰」。

今朝、朝刊の経済面にこんな見出しが載っていました。

小豆の値段が主産地北海道の不作で高騰、

和菓子や菓子パンに欠かせない「あんこ」が

甘くない状況に追い込まれているのだそうです。

国内で使われる国産小豆の9割が北海道産ですが、

今季は低温と長雨で収穫量が前年より1~2割減る見込みで、

さらに道内の作付面積は減少傾向にあるため、取引価格が高騰、

60キロ当たり2万円台だったのが今年11月は3万6千円にまで上昇。

日本橋の「榮太郎総本舗」のきんつばも、

人形町の「浪花家総本店」もたい焼きも、こだわりは北海道産小豆。

「風味やコクで他に替わるものがない」ため、

甘くない状況をなんとかしようと苦闘されているらしい。

お天道様のご機縁次第で左右される小豆の値段。

お商売で小豆を扱う皆様のご苦労はいかばかりかと思いますが、

「他に替わるものがない」価値がある北海道産小豆の凄さを再認識。

小豆を作る人、商う人、小豆から甘味を作り上げる人、

小豆に携わるみんなが力を合わせて、

甘くない今季を乗り切るほかないわけで。

そう、あんこ好きは、食べて、応援するしかありません。

映画「あん」で樹木希林さん演じる徳江さんが言ってました。

「旅してきた小豆の声を聴くの」と。

春のぽかぽか陽気、夏の日差し、雨の日も風の日も嵐の日も乗り越え、

実りの秋を迎え、収穫され、日本中に出荷され。

温かな湯気をあげる栗ぜんざいを前にしみじみ想像する。

初冬の午後。

丁寧に作られたひと碗の栗ぜんざいを味わう。

それは、畑から私たちのところまで

小豆が旅してきた「時間」を味わうということ。

時を味わう栗ぜんざい。

格別でありました。

(写真は)

六花亭の栗ぜんざい。

ぜんざい、塩昆布、焙じ茶。

甘味の三種の神器。

最高のバランス。