クーブ・ロード

日本列島を

南北に3千km。

遥かな旅路を経た

奇跡の出会い。

豚肉ミーツ昆布。

秋深し。

しみじみお惣菜が恋しい季節。

定期的に食べたい発作に陥る我が家の定番おかずが

沖縄料理の代表格「クーブイリチー」。

身体じゅうの細胞が昆布の栄養を欲しているらしい。

で、昨日の金曜ごはんの一品として作りました。

まずは主役の昆布でありますが、

春の沖縄旅で昆布専門の松本商店で仕入れてきた

クーブイリチー用の切昆布もいよいよ残り少なく、

今回でとうとう在庫切れ(涙)。

わぁ~ん、クーブイリチー昆布買いに沖縄行くか?

なんて思いながら、最後の昆布を水で戻します。

あとは豚肉と揚げかまぼこと糸こんにゃくと一緒に

沖縄カチュー(鰹節)でとったおだし、

お醤油、酒、味醂、黒糖少々で炒り煮していくだけ。

沖縄の言葉でクーブは昆布、イリチーは炒め煮のこと。

昆布と豚肉の炒め煮=クーブイリチーであります。

これがめっぽう旨い!

クーブイリチーを作るたびに

昆布の産地北海道と遥か遠い南の沖縄との味なご縁を思います。

日本列島を3千kmも離れた沖縄と北海道ですが、

道内の遺跡から出土した7世紀続縄文時代の腕輪が

沖縄近海でしか獲れないイモガイで作られていたりと、

古からの交流、ご縁があったことを物語っています。

さらに17世紀以降の近世になると、

北海道の特産物昆布が北前船から薩摩を経由して琉球王府に渡り、

中国の進貢貿易品や宮廷料理の貴重な食材として扱われ、

やがて庶民の食卓にのぼるようになり、

昆布は沖縄食文化に欠かせない食材となっていったのでした。

その中で生まれたのがクーブイリチー。

沖縄に豚肉が導入されたは14世紀だそうですが、

頻繁に食べられるようになったのは18世紀頃で

ちょうどその頃に入ってきたのが蝦夷地の昆布。

この豚肉と昆布の出会いが沖縄昆布料理を劇的に発展させたのです。

沖縄の昆布巻きには豚肉が使われ、クーブイリチーにも豚肉はマスト。

昆布の旨み成分と豚肉の旨みと脂が融合し、

濃厚で複雑な、いわゆる「アジクーター」な昆布料理を生み出したのですね。

しかも昆布の語源は南方系アイヌ語の「クンプ」と言われています。

クンプ・・・クープ・・・クーブ・・・似ている!

沖縄に北前船経由で「昆布」という名前で伝えられ、

それを沖縄の人々は「クーブ」と発音したわけですが、

語源のアイヌ語の発音に酷似しているのは何とも不思議。

美味しいミステリーロマンだ。

北の海から遥か遠い南の島へ。

古から現代もつながる素敵なご縁。

クーブロードの旅に思いをはせながら

しみじみ我が家のクーブイリチーを味わう。

幸せ♪

(写真は)

ウチの定番

「クーブイリチー」。

本場沖縄では豚肉の塊を茹でて

茹で汁も使うレシピが一般的ですが、

豚切り落としダイレクト方式でも

美味しく作れちゃいます。