聖なるオブラート

丸くて薄い

半透明の膜。

苦い薬を包んでくれた

懐かしのオブラートの

聖なるルーツ。

ああ、やっぱり、

日本一食べにくいお菓子は健在だった。

夫がゴルフ帰りに買ってきた苫小牧三ツ星の名物銘菓、

もはや全国的知名度を誇る「よいとまけ」を

秋のおやつに頂いたのですが、

やっぱり、食べにくかった(笑)。

1953年に発売されて以来、半世紀以上も愛され続ける

ロングセラー名菓「よいとまけ」。

スポンジに勇払原野のハスカップジャムを巻いたロールケーキ。

表面にもたっぷりジャムを塗った上にグラニュー糖をまぶし、

手を汚さないようにとさらにオブラートで包まれているのですが、

このオブラートが却って厄介(笑)でナイフで切ろうとすると、

ジャムがズル剥けになったりすることから

いつの日か「日本一食べにくいお菓子」という称号で有名に。

その後、製造工程での技術革新が進み、

あらかじめカットされた進化形よいとまけが販売され、

おやつに頂いたのも個包装されたカットタイプだったのですが・・・

「あちゃ・・・皮むけちゃった・・・」

食べようとするとフォークがオブラートに絡まって、

べろんと皮ごと持っていかれてしまってよいとまけが素っ裸に(笑)。

むむむ、あらかじめカットされても、

やっぱり日本一食べにくいお菓子の地位は揺るがない。

一番の功労者(笑)は、やっぱり、このオブラートですなぁ。

子供の頃、苦い粉薬を包んで飲んだ、懐かしのオブラート。

昭和の家庭の薬箱にはノスタルジックな模様が描かれた、

丸くて薄い紙の容器が必ず入っていましたよねぇ。

澱粉と寒天でできた半透明の不思議な膜は薬用だけでなく、

飴やキャラメル、ヌガーなど製菓用として使われていました。

わが心のよいとまけにもね。

オブラート。

その歴史を調べてみると、意外な事実を発見。

オブラートの語源はラテン語の「oblatus(オブラトゥス)=楕円形」で

キリスト教のミサで使われる「聖餅」のことだったそうです。

神父様が信者に平たくて薄いウェハースみたいもの授けるますよね、

あれが無発酵の薄焼きパン「オブラート=聖餅」で、

これを水に浸して柔らかくして薬を包んで飲むにも使われののが

いわゆる硬質オブラートのルーツなのだそうです。

ほほぉ・・・オブラートとは聖なるアイテムだったのね。

明治初期に日本にもこの硬質オブラートが輸入されますが、

なにせ輸入品ゆえ高価だし、しかも元は聖なる煎餅、固い・・・。

しかし、そこは、発明王国日本。

1902年、三重県の医師小林政太郎が寒天と澱粉から

柔らかいオブラートを生成する方法を発案、

1910年の日英博覧会で金牌を受賞、世界に広まっていったのだそうです。

安藤百福の即席麺といい、オブラートといい、日本人の発想、工夫は凄い。

丸くて、薄くて、不思議な半透明の膜。

風邪をひいたとき、母親が粉薬をくるんで、飲ませてくれたっけ。

ぐずぐず飲み込まずにいると口の中で薬が溶けて苦くなったり、

中途半端にとけて喉の奥にひっついたり、

時々、包みの角が喉に当たってちょっと痛かったり。

昭和のオブラートの思い出が次々と蘇ってくる。

そうか、色々あったけれど(笑)、

もともとオブラートは神様の肉体たる聖餅だったのねぇ。

半透明の不思議な膜がマリア様のヴェールのようにも思えてくる。

我が家の薬箱にはもうその姿はないけれど、

日本一食べにくいお菓子の素材としてバリバリ現役だ。

これからも頑張れ、聖なるオブラート。

(写真は)

いとしの「よいとまけ」

カットされようと

食べにくさは日本一。

爽やかな酸味と美味しさも

唯一無二のご当地ロールケーキ♪