夢見る民
緑の牧場。
赤い屋根のサイロ。
のんびり草をはむ牛たち。
チーズ造りの灯りをふたたび。
夢見る民は、あきらめない。
2018秋の週末。
かねてより心の中で計画していたドライブへ。
実家の母の故郷、旧早来町を食べて応援するプチ秋旅。
88歳の母の記憶をたどりながら、
震災からひと月経った安平町早来地区を訪ねました。
道道から旧早来町内に入り、
道路わきの崩れた山肌や倒れた木々、
崩れた老舗酒店の石倉や
危険度を示す赤や黄色の紙を目の当たりにし、
どれほど大きなエネルギーが
街を揺さぶったのかを実感しました。
比較的新しい建物は被害を受けていないようで、
道もしっかり覚えている母のナビゲーションで
目的の人気レストランに無事到着。
小さな町の小さな商店街に温かな灯りをともす
「夢民舎直営 レストランみやもと」さんです。
おお~、駐車場には車が一杯、これは並ぶかな~。
朝出かける前の電話で通常営業とは確認してましたが、
予想通り、というか、予想以上の繁盛ぶり。
扉を開けて中へ入ると、手前は売店、奥がレストラン。
店内は満席、順番待ちリストに名前を記入して待ちます。
幸い、順番は2番目なので、そう待たずに入れそう。
じゃ、なんで、こんなに人がいるの?
「ソフト、ください」
「このチーズと餃子とプリンもお願い」などなど
夢民舎のグルメを買い求めるお客さんでいっぱいなのですね。
だよね~、美味しくて、有名だものね~。
酪農王国北海道の中でもここのチーズは
ちょっと別格、歴史が違うのよねぇ。
旧早来町は国産チーズ工場発祥の地。
昭和8年現在の雪印乳業が日本初のチーズ工場を建てましたが、、
昭和60年に大樹町に移転。
早来にもう一度チーズ造りの灯をともしたいと
地元の宮本菓子店の息子だった現代表取締役の宮本正典氏のもとに
酪農家、チーズ造りの技術者、町の印刷屋さんなど
「夢見る民」が集まりチーズ工房「夢民舎」が誕生。
試練と苦労の連続の中、
あきらめなかった夢見る民たちが造った、
カマンベールチーズやブルーチーズは数々の賞に輝き、
本場フランスのカマンベール村の村長さんをも魅了するレベルに。
北海道産チーズの中でもはやきた夢民舎のチーズは
ちょっと別格、チーズ好きをうならせる存在なのです。
その夢民舎がチーズ造りの過程でできるホエー(乳清)を
自社で育てる豚に与えて育てたのが「夢民豚(むーみんとん)」。
高タンパク、低脂肪のホエーで育てられた豚さんは
甘みが強くクセの美味しい豚肉になり、
そのお肉と自社チーズを使ったお料理が楽しめるのが
直営のレストランみやもと、ってわけ。
レジをまもっていた現会長に聞くと、
地震発生時は食器やグラスなどが落ち、水道も止まりましたが、
震災から1週間たった9月15日から一部メニューでお店を再開、
町のみなさんに温かいものを食べてもらいたい一心だったとか。
ただスタッフも自宅の片付けなどがあり、フル稼働は難しく、
お店も一部のスぺ―スは閉じて営業中のようでした。
でも、できる範囲で、美味しいものをという熱い思いが
賑やかな店内に溢れていました。
順番が来て案内されたのは、
その一部閉じられていたらしい別棟エリア。
窓の外から駐車場の緑が見渡せて心地よい空間です。
メニューも一部できないものがあるそうですが、
夫はお奨めの「カチョカバロと野菜のハンバーグ」、
母と私は「カマンベールコロッケとハンバーグ」を注文。
「あの、ご飯の量はどうされますか?」
地元の高校生らしきカワイイバイトさんの
一生懸命な接客がとっても愛おしく、気持ちいい。
やがて、熱々のお料理が運ばれてきました。
ひょうたん型のセミハードのカチョカバロをまとい、
お醤油味の和風ソースで仕上げられたハンバーグも
トマトソースのハンバーグも、まじ、美味い!
ふんわり、甘みのある肉汁が口中にじゅんじゅん広がる。
健やかにのびやかに育った夢民豚。
チーズの副産物ホエーで育てられた肉質は最高。
お肉が苦手な人も多分ぺろっと食べられるとも思う。
ふだんはあまりお肉を食べない私も、
あっという間に完食。まったくお腹にもたれない。
「昔の宮本菓子店はね、洋菓子が美味しくてね。
ここの坂を上ったところに、お墓参りしたお寺があるのよ。
そこの山門を普請する時に・・・」
ハンバーグを頬張りながら母が語る早来思い出話は
夢見る民があきらめずに育てたグルメを
さらに味わい深くするのでありました。
夢見る民は
あきらめない。
はやきたは、美味しい。
(写真は)
カマンベールコロッケも
まじ、絶品。
これ、毎週、食べたい♪



