砂が歌う浜

グラウンドの向こう

道路一本渡ると

青春の海があった。

歩いた、走った、散歩した。

砂が歌う浜よ。

昨日は室蘭へ日帰りお仕事でした。

JRは平常運転ということでほっとしたのですが、

南千歳ー苫小牧間は地震の影響で徐行運転のため15分遅れ。

大きな地震があった後ですから、安全第一、ですね。

ゆっくり慎重に走る車窓から胆振東部の景色をそっと見守りました。

一日も早く安心して暮らせる日々が戻りますように。

久しぶりの故郷室蘭でのお仕事は無事に終了、

帰りのJRの出発時刻までまだ時間があったので、

東室蘭駅を出て、ちょっとお散歩してみることにしました。

そう、この駅を出て海への一本道を歩いていくと

わが母校、室蘭栄高校があるのです。

バス通学だった私も、汽車通学(う~、昭和な言葉~!)の友だちと一緒に

寄り道しながら駅に向かった思い出があります。

仕事で室蘭へ来る機会はありましたが、

東室蘭駅から高校への懐かしい道を歩くのはいつ以来でしょう。

覚えていないくらい昔のことなのは間違いない。

まだあるのかなぁ~、いや、もうないよねぇ~、

思い出のあの店、この店を記憶のアルバムから引っ張り出しながら、

モダンにかっこよくなった駅舎の階段を下りていきました。

外は秋晴れ。

でも、うわぁ・・・風が強い。

薄いブルーの空に浮かぶ白い雲が

まるで何かに追いかけられているみたいに急いで動いていく。

ああ、そうだった、海が近いせいか、風が強い日が多かったっけ。

風は変わらないけれど、景色は、ずいぶんと変わっていた。

背伸びしてコーヒーを頼んだ喫茶店も、

小さな文房具店も、校門近くにあったラーメン屋さんも、ない。

だよねぇ~、当たり前だよねぇ~、あれから40年以上だもんねぇ。

ん?「鳴き砂通り」?

感慨にふける元女子高生、街灯に掲げられたフラッグに目が吸い寄せられた。

あれ?この通り、こんな素敵な名前がついていたのねぇ~。

高校のグラウンドの向こう側。

道路一本渡ると青い海が広がっています。

わが青春のイタンキ浜、であります。

風が強く、波も大きな浜は今ではサーフィンのメッカとして有名、

パラグライダーができる場所としても知られています。

そしてもうひとつ、「鳴り砂(鳴き砂)」の名所でもあるのです。

きれいな海で、石英砂があって、

その砂が丸みを帯びていて粒が0.5mmくらいに揃っているため、

砂浜を歩くと「キュッキュッ」と砂が鳴るのです。

全国各地に鳴り砂のと呼ばれる海岸がありますが、

イタンキ浜はその中でも知名度の高い鳴り砂スポット。

地元の人は昔から知っていたけれど、

公的に鳴り砂が確認されたのが1987年、

その10年後の1997年には「室蘭イタンキ浜鳴り砂を守る会」が発足、

美しい海を守るための清掃活動などが行われているそうです。

で、2006年にJR東室蘭駅からイタンキ浜へ向かう駅前通りが

「鳴り砂通り」と名付けられた、ということらしい。

青春の駅前通りに素敵な名前がついていた。

あのラーメン屋さんも、肉まん食べた小さなお店も、背伸びした喫茶店も

とっくに姿を消していたけれど、

海へ向かう一本道は、やっぱり風が強くて、

かすかにかすかに潮の匂いがした・・・ような気がした。

ああ、卒業後に建て替えられた校舎が見えてきた。

懐かしのイタンキ浜まであと少し、だけれど、

JRの時間が迫ってきた。

母校の校舎越しにイタンキ浜に別れを告げ、

さあ、そろそろモダンな駅舎へ戻ろう。

いつか、ゆっくり歩いてみよう。

砂が歌う浜。

青春のイタンキ浜。

(写真は)

わが母校。

校舎は建て替わっているけれど、

やっぱり懐かしい。

校舎の向こうに、海がある。