愛しいほっちゃれ
懸命に川を遡り、
命をつなぎ、
力尽きるとも
その姿は神々しい。
愛しのほっちゃれ。
うわぁ・・・懐かしい、嬉しい♪
夫が北見の銘菓をいただいてきました。
北見といえば「菓子処 大丸」
「大丸」といえば名物「ほっちゃれ」であります。
鮭の形を模した超美味な人形焼き風のお菓子は
その昔の北見勤務時代、お土産に自家用に大活躍したものです。
「大丸」は昭和9年(1934年)創業の老舗のお菓子屋さん。
アーケードになった商店街の一角に静かに佇むお店には
朝早くからできたてのお菓子を買い求めにくるお客さんも多く、
地元の人々から絶大な信頼と指示を得ております。
誠実、丁寧に作られた品の良いお菓子はもちろんのこと、
お釣りは新札、お熨斗は毛筆の手書きという
真心こもったおもてなしの心には感動すら覚えます。
なかでも「大丸」の代名詞的存在が「ほっちゃれ」。
「ほっちゃれ」とは北海道方言で産卵を終えた鮭のこと。
川で生まれた鮭は4~5年間海で過ごした後、
自分の生まれた川に向かってひたすら遡り、
産卵場所に達すると雌雄つがいで命をつなぐのです。
メス鮭は川底に尾びれで懸命に掘った穴に産卵し、
それを見守っていたオス鮭が産卵と同時に受精、
その後、砂や小石で卵をそっと覆いつくすと、
ひれもうろこもぼろぼろになったメス鮭は
静かにその命を閉じるのでした。
全身全霊で産卵を終えた鮭は身も痩せて脂ものっておらず、
食べても美味しくないことからほっておかれる。
だから・・・ほっちゃれ。
なんとも物悲しい切ない響きがある言葉に
命をまっとうする喜びと畏敬の念をこめて作られたお菓子。
それが、大丸の「ほっちゃれ」。
故郷の川にもどってきた鮭へのリスペクトは
お菓子のリアルな造形にもよく表れています。
流線形の美しい魚体そのままに焼き上げられ、
立派な背びれはもちろん、その後ろにちょこんとある
サケ科特有の脂びれもきちんと再現されています。
大海原から川へと力強く泳ぐために必要なひれ、らしい。
卵をたっぷり使ったカステラ生地は
そっと忍ばせたお醤油や味醂が豊かな風味を醸し出し、
卵のかわりに北海道産小豆で作った上品なこし餡を
たっぷりお腹の中に抱えた「ほっちゃれ」。
う~ん、やはり、最高に美味しい。
マイ・ベスト・人形焼き系和菓子、であります。
もう、誰も食べない、なんて言わせない。
ほっちゃれの名誉挽回よね、
いつもこのお菓子を口にする度に思っていたのですが、
「ほっちゃれ」の語源を色々調べていたら、
鮭が遡上する北陸地方越後がルーツという説もあるらしい。
産卵のために砂を必死で掘るさまが戯れごとのようだと、
地元の漁師が「ホリ・ざれ」と表現した言葉が
いつのまにか北海道で転訛し「ほっちゃれ」になった、というもの。
う~ん・・・なるほどねぇ。
己の命を削るように一心不乱に産卵場所を掘る鮭の姿に
漁師さんなりの愛おしさを感じて生まれた言葉、かもしれないね。
今年も故郷の川をめざして
たくさんの鮭が遡ってきます。
命をつなぐその姿は神々しい。
愛しいほっちゃれさん、
ぼろぼろなんて思わないよ。
(写真は)
北見土産の鉄板。
大丸の「ほっちゃれ」。
ほかのお菓子もみんな絶品。
小豆カステラも最高♪

