アジアのおひる
細くて
しなやかで
どこかエスニックで。
晩夏に味わう
アジアのおひる。
今年は雨のお盆。
札幌も盆の入りからず~っと雨模様。
今朝も夜中から降り続く雨で山は雲にすっぽり隠れて、
ジャンプ台もまったく見えません。
傘をさしてのお墓参りになりましたね。
我が家は薄曇りだった盆の入りの午前中に無事済ませ、
例年通り、実家の母と夫と3人でお盆ランチへ。
さあ、ほっとしたところで、何にしましょうか。
あっさり冷たいお蕎麦もいいし、
仏陀の故郷に敬意を表して(笑)インド料理もあり?なんて迷いましたが、
「なんか中華食べたい」気分だったので、ご近所のあのお店へ
青々とした柳の木が店先に涼やかな影を落とす古民家。
中国料理とうどんの「座房庵」さんであります。
ん?中国料理とうどん?ユニークなカップリングですよねぇ。
東京などで20数年間中国料理を修業したご主人が94年に縁あって戻った札幌で
うどんの名店を引き継ぎ、その後2008年に現在地に移転した際に
念願の中国料理を提供するようになったという歴史があり、
つまり、うどんも中華も絶品、というわけ。
で、どちらも美味しいものだから、
いつもはうどんも中華も両方ちょいちょい楽しんでいたのですが、
今回は初めて店主自慢の中国料理一本勝負で攻めることにしました。
う~んと・・・まずは「海老と彩り野菜の薄塩炒め」でしょ、
あ、「麻婆豆腐」はマストだよね~、
おっと家では絶対作らない(作れない)「鶏肉とカシューナッツ炒め」に
そうそうこれも家で作らない(作れない)「水餃子」いきましょう♪
漢字がいっぱいの中国料理のメニューって
眺めているだけで楽しい気分になりますが、
料理名の中にコレを見つけると一気にテンションがあがる。
「ビーフン」!米粉(ビーフン)の文字を見ると絶対頼んじゃう。
〆の焼きそばやチャーハンは私の胃にはいささか重いけれど
細くてあっさりめのビーフンは不思議にするするイケちゃうのだ。
はい!「五目焼きビーフン」決定。
天然だしを使った「座忘庵」の中国料理は
どれも味に深みがありながらあっさりと上品淡麗に仕上がっていて、
脂っこくもくどくもなく、まるで京料理をいただいているようですが、
「麻婆豆腐」などは唐辛子の辛みと中国山椒(花椒)の痺れ風味が
絶妙なバランスで香り良く引きたっていて、
思わず夫は白いご飯を追加注文、マーボーかけごはんをかきこむ。
そうそう、これが正しい麻婆豆腐の食し方、であります(笑)。
そして、やってきました、念願の「五目焼きビーフン」。
純白のビーフンに海老にイカ、牛肉、鶏肉、季節野菜が彩りを添えている。
やっぱりプロの技よね~。切れ切れのビーフンなぞ一本もない。
極上スープをしっかりまとわせながら歯応えは軽快。
美味しい、旨い!
ハフハフ、するする、焼きビーフンを口に運んでいると
一瞬、広東か香港か台湾あたりの屋台にいるような錯覚を覚えます。
そうなんだ、焼そばや焼うどんは日本の昼ご飯の定番ですが、
焼きビーフンは違う。
どこか、いや、きっぱりと、アジアのおひる、って感じがする。
まだ帰化していないアジアの純真なおひるごはんって感じ。
どちらも中国生まれのビーフンと春雨はよく似ていますが、
鎌倉時代に禅宗とともに日本に渡ってきた春雨と違って、
実はビーフン渡来の歴史はまだ新しいのです。
中国南部の福建省周辺で生まれたビーフンが日本にやってきたのは第2次大戦後。
終戦後、ビーフンが日常的な東アジア地域から引き上げてきた人たちの間で
「もう一度ビーフンが食べたい」という声が多かったため、
1950年あの有名は「ケンミンの焼きビーフン」が発売されたのが
本格的なビーフン日本上陸、ということになるらしい。
つまり、北海道人の私にとっては「ケンミン~」も日常的ではなかったため、
今でも中華のメニューに「ビーフン」があると嬉しくなるってわけ。
しかも「座忘庵」の中国料理は広東・福建料理がベース、
終戦後、引揚者の皆さんが懐かしがった
本場福建ベースの焼ビーフン、ということになるわけで、
なんだかしみじみ、しみじみ、美味しく頂くのでありました。
今日は8月15日。
戦後生まれが8割となった日本。
世界の美味しいお料理が食べられるのも平和なればこそ。
73回目の終戦の日。
雨が降り続く。
(写真は)
上品淡麗な「五目焼きビーフン」。
ビーフンがちぎれてない。
油っこくない。
具材と麺に極上スープが浸透している。
プロが作るアジアのおひる。

