ロシアの芝生

赤の広場の

青い芝生。

ひたすらに追いかけるのは

ひとつのボールと平和。

もうひとつのワールドカップ。

W杯での戦いを終えたサムライブルーが帰国。

日本代表の西野監督の会見の言葉が印象的でした。

ロストフナドヌーのベルギー戦の後、

「倒れこんで背中に感じた芝生の感触、

見上げた空の色を忘れるな、という話をした」。

もう、このまま映画になる。

ロストフナドヌーの芝生はチクチク痛かったのか、

それともふんわり優しく受け止めてくれたのか。

空の色はどんなブルーだったのか。

雲はなんと語りかけてきたのか。

人の心を打つコメントは聴く人に映像を描かせてくれる。

選手が見たであろう光景を想像させてくれる。

サムライジャパンとファンの間の距離をぐっと縮めてくれる。

西野監督在任46日の最後の大仕事、かもしれない。

そんな会見記事に感動しながらめくった朝刊の国際面。

ロイター通信発の小さな記事と写真に目が留まりました。

「難民たちもシュート」。

W杯開催中のロシアの首都モスクワで3日、

アジアやアフリカなどからの難民が特別チームを編成、

ロシアのサッカーファンらと試合を楽しんだ、という内容。

場所はクレムリン前の赤の広場に設けられたコート。

写真はモノクロでしたが、美しい赤い宮殿を背景に

青い芝生の上でボールを追いかける難民たちの姿が

フルカラーではっきり見えてきました。

チームに加わったのはシリア、アフガニスタン、カメルーン、

ジンバブエ、コートジボワールなどからの難民たちで、

サッカー界の人種差別問題に取り組む市民団体FAREの企画だそうです。

戦争や紛争、貧困、飢餓、国を追われ、国を逃れた人々が

ただひたすらにボールを追いかけているこの瞬間だけは

不安や重圧から解放されたような表情に見えました。

記事では勝敗の行方は書かれていませんでしたが、

このもうひとつのワールドカップは

もっと大きく報道して欲しいような気がします。

かつて少年兵士に仕立てられたアフリカの少年たちが

救出されたキャンプで初めて笑顔を見せたのは

一個のサッカーボールを蹴った瞬間だった。

そんな話を聞いた記憶があります。

サッカーは人の心に希望を灯す力があるのです。

国を追われた人々が平和を希求してボールを追いかける試合は

意義あるエキシビションマッチではないでしょうか。

誰もが安心して

ボールを蹴り、

緑の芝生に倒れこみ、

青い空を見上げる日が来ますように。

ワールドカップで平和を祈る。

(写真は)

札幌は久しぶりの青空。

7月に入って初めてジャンプ台が見えた。

大雨、台風、梅雨前線。

お天気が心配な夏。