大航海レシピ
世界に先駆けて
新大陸をめざした大航海。
長い長い冒険の船旅で生まれた
ポルトガルのソウルフード。
365日のバカリャウ。
愛しのポルトガルお土産品シリーズ。
本日は可愛いパッケージと豊富な種類を誇る魚介類の缶詰から
かの国のソウルフードのお話です。
デザインブックのように秀逸なヴィジュアルな缶詰の中から
まずピックアップしたのが「バカリャウ」と「イワシ」。
お魚大国ポルトガルの2トップ。
イワシの缶詰にはポルトガル語で
「SARDINHAS em tomote picante」との表記があり、
なるほどイワシとトマトと唐辛子の絵が描かれています。
ふむふむ唐辛子を効かせたアラビアータ風のトマト煮ってことね。
缶を開けると・・・お?サンマ蒲焼缶に似た匂い、親しみあるなぁ。
大きめのイワシが3匹、小さな缶にびっちり詰まっている。
さっそくテイスティング。
う~ん・・・ぴりっとスパイシーなトマトソースとイワシの相性が絶妙。
身はほろほろ、骨まで柔らかく、イワシの栄養分まるごと詰まっている。
甘辛醤油味の蒲焼缶とは180度違う南欧的な味わいが新鮮だ。
そのまま食べても美味しいし、カリカリのバゲットに載せたり
ポテトや夏野菜なんかとオーブン焼きにしてもいいかも。
上にチーズやバジルなどトッピングしたりしてね。
お料理欲をぐんと刺激してくれる素敵な缶詰。
そしてもう一品、これぞポルトガルのソウルフード。
「BACALHAU em azeite e alho」。
日本語に訳すると「バカリャウのにんにくオリーブオイル漬」。
これは間違いない、食べる前から絶対美味しいってわかるよ。
こぼれないようにそ~っと缶のふたを開けると・・・
オイルの海に満たされた白いタラの身がぎっしり。
ほのかに香るニンニクが食欲を刺激する。
焼きたての薄切りバゲットに象牙色のバカリャウをそっと載せ、
オイルがこぼれないように気をつけながら、パクリ。
う・・・うんまぁ~~~~~い!!!
アタシ、コレ、大好き!!!
オリーブオイルの香りとほど良いガーリック感をまとった
絶妙な塩加減、熟成した旨み、ほろり&ぷるるんとしたタラの身よ。
自分史上、最も美味しいタラ、かもしれない(笑)。
この美味しさは・・・何かに似ている。
そうだ、北海道が誇る極上の新巻き鮭、しょっぱい鮭の旨みだ。
塩漬けされ、旨みのもとのアミノ酸がぐんぐん凝縮された塩鮭だ。
バカリャウは塩鮭、バゲットは白米、みたいなもので、
そう個人的に人生最後の晩餐に食べたいほど大好きな、
炊きたてご飯の塩鮭おむすびに通底する旨さ、なのだ。
多分、日本人の大部分が大好きな味、だと思う。
バカリャウ。
巨大な干したタラはポルトガルの国民的食材でその食べ方は
365日違うレシピが出せるほどバラエティに富むらしい。
ポルトガル人の魚介類消費量はお魚好き日本人よりも多く、
その40%を占めるのがタラで、人口1050万人の国の消費量は世界一。
1年をタラで過ごすポルトガル。
しかし不思議なことに食べられているのはもっぱらバカリャウで、
生のタラはほとんど消費されず、魚屋さんでも見かけません。
そもそもタラ自体は北欧諸国からのものでポルトガルで水揚げされない。
なぜバカリャウが国民食になったのか。
その謎を解くキーワードが16世紀の大航海時代。
世界に先駆けて新大陸を目指して大航海に乗り出したポルトガル。
その長期間に渡る航海に必要な保存食として発達したのが
塩蔵した干しダラ、バカリャウだったのです。
長い航海に耐えるバカリャウ料理のポイントは戻し方。
巨大なブロックを水に浸し、日に4度は水を替えながら4~5日、
慌てず騒がずじっくりじっくり慈しむように戻さねばなりません。
う~む、バカリャウを愛情深く「飼う」ような感覚だろうか。
戻し足りなくても、戻し過ぎても美味しくないらしい。
スピードアップされた現代に連綿と生き続ける大航海レシピ、
戻す時間もバカリャウの味わいのひとつ、かもね。
バカリャウ料理の定番中の定番が「バカリャウ・ア・ブラス」。
現地で食べた夫が絶賛していた一皿はバカリャウとたまねぎを炒め、
フライドポテトと合わせて卵でとじたもの。
う~む、想像しただけで美味しそう。
ポルトガル版おふくろの味、ってところでしょうか。
ちょっと作ってみたいけれど、
おっと気づけばバカリャウ缶詰は完食寸前。
大航海レシピを味わいに
ポルトガル大衆食堂めぐりたい。
旅人になりたい。
(写真は)
ポルトガル缶詰の2トップ。
パッケージも味も最高。
小さな缶に
大航海時代の誇りが詰まっている。

