スズラン咲く

初夏の朝。

緑の芝生の片隅に

ひっそり静かに凛と咲く。

清楚な白い花のは花言葉は

再び幸せが訪れる。

20歳の青年。

人生で言えばちょうど初夏の季節。

青春をアメリカンフットボールに捧げてた若者が

自分にはもうアメフトを続ける権利がない、

これからもやるつもりもない、と言う。

彼にどんな言葉をかけたら良いのだろう。

日大の悪質タックル問題で

怪我をさせた日大の選手本人が記者会見に臨みました。

会見場に姿を現した青年は190cmはありそうな鍛えあげた大きな体、

わずかに幼さを残した顔に大きな覚悟を決めた表情が印象的でした。

20歳の学生が顔を出し、名前を出し、400名余りの報道陣を前に語る。

名前を出さない謝罪などない。強い意志が伝わってきました。

焦点となっている危険なタックルについて詳細な経緯が語られ

監督、コーチの指示があったことが明らかになりましたが、

いかに追い込まれていたにせよ、指示があったにせよ、

反則行為を行ったしまったのは「自分の弱さ」だと語りました。

日本代表に選出されるほど実力ある選手が

なぜここまで追い詰められたのか、

やる気がないと練習をはずされ、

試合出場と引き換えに「潰せ」と指示された。

語られた内容から浮かび上がってくるのは

選手が物を言えず、考える力をフリーズさせてしまう強圧的な環境。

あの危険なタックルという行為自体も一歩間違えばと恐ろしいけれど、

その危険行為の是非を判断する力を奪ってしまう背景が怖い。

スポーツとは考える力を奪うものなの?

心理的に追い詰めたら選手は成長するものなの?

指導者がどうあるべきなのかが問われるこの問題、

悪者探しで終わらずに、その背景、環境、組織としての在り方、

20歳の青年の勇気におぶさっているわけにはいかないわけで。

スポーツ好きの大人の一人、親の一人として

何だか他人事に思えない。

あの映像が流れるたびに、

メディアで「潰せ」「壊せ」と言われるたびに

「自分の息子を潰せ、壊せ」と言わているようで辛い。

怪我をした選手のお父さんの言葉を聞いたときに涙が出た。

フラッシュの嵐に一人立ち向かった選手も、心身共に傷ついた相手の選手も

その親御さんの立場を想像すると、本当に心が痛い。

こんな思いをさせるためにスポーツをさせたのか。

そんな朝、

マンションの裏庭の芝生の片隅に

ひっそりスズランが咲いているのを見つけました。

静かに黙って清楚な白い花を咲かせるスズランの花言葉には

「純粋」そして「再び幸せが訪れる」。

まだまだ問題解決には時間がかかると思いますが、

「自分の弱さ」を認めることは

人間として強くなる一歩と言えるのではないでしょうか。

怪我をした選手の一日も早い復帰を願うとともに

願わくは、アメフトが好きだった20歳の若者が

またスポーツの楽しさに触れられる時が来ますように。

一スポーツファンの願いです。

(写真は)

初夏の朝。

誰にも気づかれずに

ひっそり力強く咲くスズランの花。

きっと、幸せが、訪れる。