コモドの朝

楽園の朝。

朝日を浴びる美しい池に

確かにキミはいた。

ハードな風貌で泳ぎがうまい。

はたしてキミの名は?

「コモドドラゴン 伊豆にやってくる」。

朝刊の囲み記事に載っていたトピックス。

静岡県の爬虫類専門動物園イズーに

世界最大級のトカゲでインドネシア固有種の

コモドオオトカゲ(コモドドラゴン)が来ることになったとか。

へぇ~、爬虫類専門の動物園ねぇ~、

ちょっと腰が引けながらも(笑)好奇心はそそられる。

国内でコモドドラゴンを飼育している動物園はほかになく、

ってことは、今回、記念すべき初来日ってことらしい。

コモドドラゴンはインドネシアのコモド島と周辺の島に生息し、

全長3m、体重60kg以上に達する世界最大級のトカゲくん。

その希少な固有種が日本へやってくるなんて、そりゃニュース。

なんでも今年2月にイズーとインドネシアの動物園と間で

繁殖を目的とした国際協働保護計画の覚書が締結され、

インドネシア政府も日本との国交樹立60年を記念する事業の一つとして

大事なコモドドラゴンをレンタルすることになったそうです。

レンタルされるのはオスとメスの2頭で7月ごろに到着予定。

ガルーダ航空で来るのかなぁ?JAL かなぁ?

コモドドラゴン。

名前の通り、まるで生きるジュラシックパーク。

絶滅した恐竜の記憶をとどめるようなハードなヴィジュアル、

間近で見たいような、ちょっとコワいような(笑)。

いや・・・待てよ・・・?

似たような生物にどこかで出会った記憶がある。

そうだ、バリだ。

息子がまだ小学生のころ、

夏の家族旅行ででかけたバリのリゾートホテルだ。

そう、熱帯のジャングルでも森でもなく、

超お洒落なリゾートホテルのガーデンレストランのお庭に

そやつは、いた。

バリスタイルの優雅なコテージ風のレストランで、

庭の美しい池を眺めながら朝ごはんを食べていると、

「あ、コモドだ!」と息子が叫んだ。

「まさか、こんなところにいるわけないでしょ」

「いるよ、コモドだ、あそこに、ほら!」

半信半疑で息子が指さす方向を見ると・・・

いた。

お魚たちがぱしゃぱしゃ元気に泳ぐ庭の池のほとり、

水からのっそりのっそり這い上がってくる恐竜、

いや、4本足の大きな爬虫類が視界に入ってきた。

「ホントだ!コモドだ!」。

息子と一緒に池のほとりに直行、至近距離で確認すると、

確かに、映像や図鑑で見たコモドドラゴンそっくりのトカゲ君が

のんびり石の上で目をつぶっていた。

気が付けば池のほとりのドラゴン以外にも

水中をしなやかに泳ぎ回るドラゴンが数頭。

あれ?コモドドラゴンって泳ぐの?

ていうか、コモドドラゴンよりはずっと小さいよね?1mもないよね?

なんて息子と話していると、ホテルのスタッフが

「彼らはパンが好きだよ」的なことをバリ風の英語で教えてくれた。

どうやらホテルのドラゴン、エサをあげてOKらしい。

息子が朝食のパンを小さくちぎって

石の上のドラゴンの方へ投げてあげると、ぱくっ!

イルカショーのイルカくんみたいに上手にお口でキャッチ、

ぱくぱく、それは美味しそうに、パンを食べた。

ジュラシックパークの恐竜のような見た目のドラゴン君が

ぱくぱく平和にパンを食べている。可愛い。愛おしい。

それ以来、バリ滞在中、毎朝、庭の池のドラゴンに

パンをあげるのが息子の日課になったのですが、

あれから10年以上経った今でも謎が残っている。

あの餌付けされたみたいに可愛いドラゴンたちは

本当にコモドドラゴンだったのか。

コモドドラゴンは水中を泳ぐこともあるらしいですが、

基本的に肉食、水牛のような大型哺乳類も餌にすることもあるなんて話も。

冷静に考えれば、リゾートホテルのお庭でそんな獰猛な、

かつ希少な固有種を飼ってるわけないよね。

そもそも池の中のお魚たちと平和に共存していたもの。

多分爬虫類天国インドネシアにたくさん生息する、

大型のトカゲのどれかなんだろうな。

楽園バリの朝。

濃密な緑と熱帯の花の匂い。

軽やかな鳥たちのさえずりを聞きながら

池の「コモド」にパンをあげた楽しい思い出は

生物学的には間違いでもそのまま修正しないで

家族の記憶のアルバムに「コモドの朝」として残しておこう。

お庭のコモド。

今も元気かな。

(写真は)

パン好きだった「コモド」。

北海道の長芋も好きかな~(笑)。

5月の新メニュー

「長芋と舞茸のバター醤油炒め」。

火が通った長芋はほっくほく。