話せる猫

ぴくっ!

氷上の猫が

一瞬、体を震わせた。

金メダルへの武者ぶるいか。

圧巻の36秒94。

平昌オリンピック・スピードスケート女子500m、

女王小平奈緒選手が五輪新記録で堂々の金メダル獲得。

いやぁ、スタートのあの瞬間、テレビの生中継を見ていて、

日本中が「ぴくっ!」となったのではないでしょうか。

すやすや眠る赤ちゃんが一瞬ムシを起こしたかのように、

猫のように低く構えた小平選手の体が小さく動き、

見ているこちらの心臓がドキン!

口から飛び出しそうだった。

しかし、今季負けなしの絶対女王の滑りは凄かった。

最初の100mを10秒26で通過、あとはぐんぐん加速、

金メダルが待つゴールへと滑り抜けました。

その姿はしなやかで敏捷で美しい野生動物のよう。

透明な氷のサバンナを駆け抜ける孤高の女王。

凄みのある美しさに圧倒されました。

獲物を捕らえるかのように前を見据える鋭い眼差し。

氷と平行になるほど低く抑えられた下半身。

指先までコントロールされた両腕の美しい動き、

あらゆる筋肉が最高の状態で躍動し、

ブレ―ドが氷を確かに捉える音さえ無音に思えた。

そうだ、本当に、猫だ。

ミュージカル「キャッツ」の舞台を思い出しました。

NYブロードウェイでも劇団四季版でも観ていますが、

卓越したダンサーたちが演じる猫たちは

高く跳躍しても、くるくる回転しても、着地の音がしない。

どさっと地面に降りてくることなど決してなかった。

きっと極限までのトレ―ニングやレッスンは

人間の肉体を猫に限りなく近づけるのだ。

「怒った猫のような背中を意識し、肩を上げる」。

小平選手は自身のスケート技術を明確な言葉で表現すると、

今朝の朝刊記事に載っていました。

年に一度母校の信州大で開かれる「技術討論会」では

部員全員が先々シーズンと先シーズンの滑りを自己分析し、

精神論ではなく言葉で技術を理解する試みが実践されていて、

小平選手は滑走時に意識した点などを毎日記した「技術カルテ」をもとに

分析、整理し、スケート技術を言語化してきたそうです。

怒った猫は、話せる猫だった。

自分を分析、整理し、言葉にする。

同じく金メダルを獲得した羽生結弦選手と重なりますね。

なんとなくとか、雰囲気ではなく、

氷と対話し、技術を積み上げ、それを明確に言語化する。

羽生選手は自分が語った言葉を報じたメディアの記事が

「いちばん脳みそに効く」とも語っていました。

金メダリストの共通点は、言語力、でもあるようです。

自分の技術を言語化できるアスリートは

競技の普及や後進の育成に大いに寄与するはず。

羽生選手も次の目標は前人未到の4回転アクセルと公言しましたが、

その先のプランとして「世界中を回って、

本気で一番をめざす選手の手伝いをしたい」とも語っています。

羽生選手、小平選手。

二つの金メダルのDNAが

明確な言葉で必ず次世代へと受け継がれていくことでしょう。

その先も、とっても楽しみな金メダル。

メダリストの言葉は聞き逃せない。

(写真は)

バレンタイン和菓子セット。

ハートの羽二重餅に牡丹の練り切り。

金箔羊羹はほのかなチョコの味がした。

そういえばカーリング女子の日本代表チーム、

競技の休憩時間に苺と羊羹を頬張っていました。

和菓子もアスリートを応援。