甘い帰り道
ほかほかと
手のひらに伝わる温もり。
口にする前から
心がぽかぽか。
永遠のおやきよ。
小麦粉の生地に餡を淹れてこんがり焼いたおやつ、
北海道、東北では「おやき」関東は「今川焼き」関西は「回転焼き」、
東海は「大判焼き」などなど、地方で呼び方は異なれど、
ほかほかのそれを誰かと一緒に食べた懐かしい思い出は
きっと多くの人に共通しているような気がする。
そして、その思い出は現在進行形なのだ。
昨日の夕方、
長年の懸案事項(笑)だったスーツケースを修理に出すために
夫に車の運転を頼んでデパートの中にある直営店へ。
息子に貸与していたお気に入りのリモワだったのですが、
ラグビーの部活遠征で酷使されたアタシのリモワちゃんは、
いつのまにかハンドルや鍵の部分が壊れ、満身創痍で帰還(涙)。
伸ばし伸ばしにしていた修理の決行を決意、
だって、もうすぐ、春だもん。
直営店で傷ついた全身をくまなくチェックしてもらい、
修理伝票に必要事項を記入し、手続きはすみやかに終了。
エスカレーターで下っていると、むくむくとある衝動が起こってきた。
そうだ、おやきを買っていこう。
ここのデパ地下に超人気の兵庫の「御座候」が入っているのです。
そうだったそうだった、おやきの兵庫名(笑)は、この御座候。
屋号がそのままおやつの名前になるほど愛されているのでした。
職人さんが目の前で手際良く焼いていく店の前は毎度行列。
一人で通りかかるときは、カロリーも気になるお年頃(笑)
「今日も人気ねぇ」と我慢して(笑)素通りするのですが、
ふと、車で待っている夫の顔がちらりと浮かぶ。
熱々買っていったら喜ぶだろうな~、
帰りの車の中ではふはふ、悪くないな~、
むくむくと欲望が頭をもたげ、6,7人ほどの行列に並ぶのでありました。
一人だとスルーできるおやき屋さんの店の前も
誰かが待っていると思うと素通りできない。
このほかほかのぬくもりを分け合いたいって思うんだよねぇ。
な~んて心の中で言い訳しているうちに順番が来た。
「赤あん、4個下さい」。
お姉さんが手際よく焼きたての御座候=おやきを
サイズぴったりの箱に収めて、丁寧に包装紙で包み、
デパートのビニール袋に入れて渡してくれる。
ほかほかの包みをさげて車へ戻り、
「待ってた?」と聞くと「待ってた」の答え。
主語がなくても会話が成立。
長年夫婦していると、まさに以心伝心(笑)。
特に食べ物関係の意思疎通度は素晴らしい。
がそこそとビニール袋からおやきの包みを取り出す。
ああ・・・ああ、懐かしい、この匂い、この膝の上のぬくもり。
包装紙や紙箱越しに漂う焼きたてのおやきの匂い。
温まった紙がかもしだす独特のこの匂いが、懐かしい。
いつ、どこで食べてもおいしいけれど、
おやきは、こうして、誰かと、帰り道に食べるのが一番おいしい。
仕事帰りの父親を迎えにいった帰り道、
母親の夕餉の買い物にくっついて戻る帰り道、
部活で汗を流した後の友との帰り道、
道すがらのおやき屋さんには、誰もが寄り道せずにいられない。
ご飯の前でも、校則違反でも(笑)、
寄り道、帰り道、おやきが手招き。
おいしいね。
うん、おいしいね。
心もぽかぽか。
おやきは永遠に不滅です。
(写真は)
ああ、
なんと魅力的な風景。
おやきが焼ける景色。
これぞ、インスタ映え(笑)。

