ふたたびの春

おいしい。

おいしいけど、

ちくりと胸が痛む。

ふたたびの春だったのに

ごめんね。

昨日の日曜プチ晩酌のおつまみは

今が旬のワカサギのフリット。

ご近所スーパーでぴっちぴちの銀色軍団を発見。

例によって、お醤油と黒胡椒でさっと下味をつけた後、

小麦粉にカレー粉を加えてまぶし、

オリーブオイルでさっと揚げたら特製フリットの出来上がり。

さあ、熱々の揚げたてを頂きましょう。

う~ん、カリッ&ふわっ。

表面は香ばしく、身は柔らかく、カレー風味がさらに味を引き立て、

パクパク、パクパク、お箸が止まらない美味しさ。

・・・なのですが・・・、

「なんか、可哀そうだよね」「うん、罪深さを感じるよね」

あまりに華奢なそのお姿に、夫婦して一瞬、箸が止まった。

だって、お皿の上のワカサギの個体差が激しかったのです。

シシャモのような大型のものが混じってはいますが、

ほとんどがかなり小さな華奢な魚体が多く、

おいしいけど、ごめんね、ごめんね。

もっと大きくなりたかっただろうに、

ワカサギとしての未来もあっただろうにと、

夫婦して懺悔しながらのプチ晩酌(笑)。

それにしても、この個体差は何だろう?

同じ魚種、同じ網にかかっているはずなのに、

どうしてメダカサイズとシシャモサイズが同居しているのだろう?

「きっと大きいのは親、子供を見守っているんだよ」という、

非科学的な夫の想像を聞き流しながら(笑)ちょっと調べてみると、

北海道のワカサギはほとんどを海で過ごし、

春に河川を遡上し、産卵する1年魚ですが、

なかには2年生きるものもあるそうです。

そうか、この小さな小さなワカサギちゃんは春に生まれ

次の春を待たずに生命をまっとうする運命だったのね。

で、飛びぬけて大きいシシャモサイズのキミは2年魚。

運命の荒波を乗り越え、次の春を見られた数少ない個体ってことか。

人間は何度も春が見られるのが当たり前って思っているけれど、

ワカサギ界にあっては、次の春は、奇跡、なんだなぁ。

からりと揚がったフリットをつまみながら、

人間は、本当に、毎日、たくさんの命を頂いていることを

今さらながらに、実感しました。

二度目の春を知らずにお料理された小さなワカサギたちよ。

ありがたく、おいしく、いただきます。

キミたちの代わりに今年の春の桜をしっかり眺めますね。

ふたたびの春を知らない小さな命に

ちくん、と胸が痛む、

立春の晩酌、でした。

(写真は)

わが家の定番。

旬のワカサギのカレーフリット。

個体差の激しさに

ちょっと動揺しながらも美味しく完食。

ありがとう。ごちそうさま。