おいしい辞書

「焼く」と

「炒める」の違いは?

言葉で説明できないコツも

新しい辞書が教えてくれる。

辞書もおいしく進化。

朝刊の日曜版は読書欄が充実していて、

新刊案内から作者インタビューまでじっくり読ませますが、

今朝も興味深い企画記事に目が留まりました。

「焼く」と「炒める」の違いは?

知っているようで分からない言葉の奥深さについて

作家三浦しをんさんと広辞苑第7版の編集責任者が語り合う、

発売記念イベント「広辞苑大学」での模様を紹介したもの。

これが実に面白かった。

三浦しをんさんの小説「舟を編む」は辞書編集がテーマ、

愛すべき言葉オタクな登場人物たちを通して、

言葉へのリスペクトと愛情が伝わってくる作品でしたが、

第7版への10年ぶりの改訂は、まさにリアル「舟を編む」、

今回の改訂の柱は類義語の書き分けだったそうです。

そう、似ているようで、微妙に違う言葉、

「焼く」と「炒める」、であります。

第6版では

「焼く」は「火に当てる。あぶる」

「炒める」は「食品を少量の油を使って加熱、調理する」。

う~ん、なるほどなるほど・・・ですが、

「油を使って、というところに若干の違いを感じますが、

料理が下手そうですね」という三浦さんのコメントが実に言いえて妙。

そうそう、そうなのよ、間違っていないけれど、

ふだん台所に立っていない人が一生懸命ひねり出した感が否めない(笑)。

これが第7版になると、進化するのですねぇ~。

「焼く」は「火を当てたり熱した器具の上に乗せたりして

食材を加熱・調理する」

「炒める」は「熱した調理器具の上に少量の油をひいて、

食材同士をぶつけるように動かしながら加熱・調理する」

おおお~、一気に料理が上手になっているではありませんか。

実際にフライパンや中華鍋をふるっている生きた説明になっている。

三浦さんも「ぶつけるように」という動き,を絶賛。

言葉の説明を読んだだけでキッチンからジャージャーと

美味しそうな音と匂いが漂ってきそうな、そう、視覚化できる第7版。

凄いねぇ、辞書はおいしく進化しているのですねぇ。

「炒める」という調理の肝は、食材同士をぶつけること。

プロの料理人がフライパンや中華鍋を「あおる」動作が目に浮かぶ。

でもね、広辞苑にクレームをつけるわけではありませんが、

家庭のキッチンでは「ぶつけるように動かす」だけでは

なかなか炒め物がプロのように美味しく仕上がらないもの。

強い火力や「あおり」の技がないからでしょうが、

その代わり、生み出した技が「蒸す」こと。

沖縄料理の料理人さんに教えてもらった裏ワザ。

ゴーヤーやタマナー(キャベツ)のチャンプルーと作るとき、

ざっと強火で炒めた後、蓋をして少しの間「蒸す」ことで

ゴーヤーの苦みが緩和されたり、固い部分にも火が通り、

実においしいチャンプルーが出来上がるのであります。

この炒める&ちょい蒸すテクニックはほぼ万能。

キンピラやほかの炒め物もホントに美味しくできちゃうのですよ。

というわけで、

野宮的美味しい辞書によると「炒める」とは

「ぶつけるように動かし、少し蒸し、また動かす」こと。

辞書もフライパンも自分流に美味しく使いこなしましょう(笑)。

どこのお家にも、おいしい辞書がある。

(写真は)

わが家の夏の定番

ゴーヤーチャンプルー。

塩もみも下茹も不要な

ちょい蒸し。

おすすめです。