コロンブスのきのこ

あ、なぁ~んだ。

そんなに簡単だったの。

あんなに苦労したのにぃ。

最初から教えてほしかったよ(笑)

コロンブスのきのこ。

今年のちょい早クリスマスパーティー料理の続編。

メインに加えて前菜やおつまみになるタパスをたくさん作るのが

わが家の、というか、シェフ担当のアタシの伝統(笑)。

昨日ご紹介したチカのフリットにタコのガリシア風などの魚介系タパス、

そしてこれまた我が家の定番「マッシュルームのセゴビア風」も

パパっと作っちゃいました。

スペインのセゴビアは首都マドリードの北約90kmにあり、

古代ローマ時代から拓けた歴史ある美しい街。

旧市街とローマ水道橋は世界遺産に登録されていて、

ディズニーの白雪城のモデルになったアルカサル城など

素晴らしい観光名所もたくさんありますが、

美味しい郷土料理が食べられる美食の街でもあります。

特に有名なのが「コチニージョ・アサド」。

セゴビア名物の豪快な仔豚の丸焼きであります。

伝統的な味と誇りを守るため厳格な基準が設けられていて、

仔豚ちゃんの体重は5kg以下であること。

ミルク(母乳)で育てられていること。

生まれて3週間以内であること。

母豚が特定の種類の豚であること等々きちんと遵守しなければなりません。

美味しいお料理のためとはいえ、上記の条件は

農耕民族のDNAからするといささか可哀そうな感じが否めない。

生まれてすぐのミルク呑みの仔豚ちゃんをね・・・丸焼き・・・。

しかしそれぞれの風土や歴史に根差した食文化にはリスペクトをすべし。

セゴビア名物「コチニージョ・アサド」の実物写真を見ると・・・

平たく開かれた仔豚ちゃんがこんがり黄金色に焼かれ、

・・・よ~く見ると・・・小さな尻尾も確認できる。

ある意味・・・仔豚ちゃんの尾頭付き・・・。

まあ、われわれも鯛の尾頭付きでお祝いするわけだし・・・

肉食文化の歴史が長いかの地では仔豚の尾頭付きはおめでたいご馳走、

こんがり焼けた仔豚の丸焼きに食欲をそそられるのは自然なこと。

飴色に香ばしく焼かれた皮などが北京ダックっぽくて確かに旨そう。

セゴビアの豊かな食文化を一度味わってみたいものですが、

スペインは遠いし、ましてや乳飲み仔豚なんて、入手できません。

というか、お料理できません(笑)。

しかし「マッシュルームのセゴビア風」なら

それこそ、思いついたら、パパっと作れちゃいます。

立派な十勝産のブラウンマッシュルームの軸をとり、

カサの部分ににんにく、生ハム、イタリアンパセリのみじん切りを詰め、

オリーブオイルを回しかけ、細目のパン粉をかけてオーブンで焼くだけ。

農耕民族も肉食民族も大満足のタパスの完成。

で、このマッシュルームの軸を取る時、

カサを傷つけないようにペティナイフで慎重に行っていたのですが、

ある時、行きつけのスペインバルのオーナーシェフが、

「あれ?手で軸をくりっとひねれば簡単に取れますよ」と

こともなげに教えてくれたのです。

え~っ、もっと早く言ってよぉ~(笑)。

あんなに苦労して軸取りしてたのに~。

さっそく、軸を指でくりっとひねると・・・

あ~ら簡単、赤子の手をひねるように(ごめんなさい笑)、

嘘のようにあっけなくマッシュルームの軸がポロリと取れた。

スペインだけに、これぞまさしく、コロンブスの卵ならぬ、

コロンブスのきのこ、です(笑)。

世界はあっけなく逆転する。

な~んて哲学的思索にふけりながら

マッシュルームの軸を取り、

今年も美味しいちょい早クリスマス料理に腕をふるう。

作る幸せ。食べてもらえる幸せ。

(写真は)

コロンブスのきのこ、ならぬ

「マッシュルームのセゴビア風」。

何かもう一品、なんて時の

お助け、使える、美味しいタパス。