ロスト・クリーム

とろり甘~い

卵色のクリームは

古代ローマで生まれ、

長く忘れられていた

ああ愛しのロストクリームよ。

甘く幸せな絶賛卵スイーツ祭りの続報(笑)。

岩見沢の干場ファームの干場さんから

倶知安の石川養鶏場さん経由で直送された絶品卵。

北海道産子実トウモロコシを食べたコッコから生まれた卵は

カフェオレ色をしたふっくら完璧なフォルム、甘み、旨み、まろやかさが抜群。

卵かけごはん、超特大だし巻き卵に続き、この週末は

飼料から北海道産100%の卵を使ったお菓子作りに挑戦したのでした。

まずは超レア卵に敬意を表して全卵使用でシフォンケーキを焼きます。

北海道の豊かな大地で育った卵は実に力強い。

コシのある卵白の力でケーキはふっくらふわふわに膨らみ、

コクのある卵黄の甘みと旨みがしっとり感をかもしだし、

初めて挑戦したにもかかわらず、我ながら満足の焼き上がり。

ほんのわずかに緑がかった黄身色が美味しそうで

きめの細かい気泡も実に美しい。むふふ、自画自賛(笑)。

そして卵の魅力を最大限に味わいたくて

ケーキが焼ける間に秘密のクリームを作りました。

全卵を使った特製カスタードクリーム、であります。

ふつうは卵黄だけを使うレシピが一般的ですが、

なんてたってそんじょそこらの卵とは卵が違う。

リスペクトをこめて卵まるごと活かすべく、全卵使用。

優しいカフェオレ色の殻を割り、卵黄、卵白ともにボウルへ。

卵を味わいたいのでギリギリまで分量を減らした三温糖をすり混ぜ、

薄力粉とコーンスターチを加え、だまにならないようにミキシング、

牛乳少々、バニラエセンスを加え、同時に残りの牛乳を沸騰寸前まで温め、

半量を卵のボウルへ入れて混ぜたら、牛乳の鍋へ全量をそっと移し、

中火でとろりとするまでかき混ぜていきます。

ここが肝心、焦げないように、でも固くなり過ぎないように。

とろり・・・もったり・・・になる寸前に火から素早くおろし、

さらに丁寧にかき混ぜていくと、余熱でとろりがやがてもったりに。

うふふ、北海道産100%卵の特製カスタードクリームが完成。

卵と牛乳、砂糖で作るカスタードクリームは

やさしい甘さがどこか懐かしい感じがして、大好きなのですが、

実は懐かしいどころか、相当歴史の古いクリームなのでした。

4~5世紀の古代ローマのレシピ集「アピシウス」にバニラが入らない以外は

現在のカスタードクリームと同じレシピが掲載されているのですが、

何故かこのクリームは忘れ去られ、お菓子の歴史の舞台から姿を消します。

そして時代がはるかに進んだ17世紀のフランスの料理本に

王室家庭料理としてシナモン風味のクレーム・ブリュレが登場、

18世紀にこの本が英訳されてイギリスで出版され、伝播していく間に

クレーム・アングレーズ(イギリス風クリーム)と呼ばれるようになりました。

その間にフランスではカスタードの製法が忘れられ、

のちにイギリスから逆輸入の形でレシピが伝えられたのだそうです。

なるほどねぇ~、確かに卵色のカスタードソースの名前は

ソース・アングレーズ(イギリス風ソース)だし、

イギリスの国民的お菓子「トライフル」の主役はカスタードソース。

そうかそうか、古代ローマで生まれた卵色のクリームが

長い眠りから目覚めたのがイギリスだったわけね。

それにしてもとっても美味しくて身近な材料で作れるのに、

どうして忘れ去られていたのでしょうね。

甘い謎を秘めたロスト・クリーム。

なんて謎解きは置いといて、

さあ、シフォンケーキも粗熱がとれました。

とろりとした特製カスタードクリームも食べごろ温度に冷えました。

さあ、ちょっと気が早いけれどコペンハーゲンのクリスマスプレートに

シフォンケーキを載せ、卵色のカスタードクリームをたっぷりとろ~り、

北海道産の黒さくらんぼジャムをアクセントにトッピングしたら、

卵色のウィークエンドスイーツプレートの完成。

濃い目のアッサムティーを淹れて、さあいただきましょう。

わずかに草原の色を残したシフォンケーキにフォークを入れる。

ふわり・・・赤ちゃんのほっぺのような柔らかさと弾力が伝わる。

そう、本当にふわふわなんだけど、赤ちゃんの肌のような生命力がある。

北海道の大地で育った卵の力強さはシフォンケーキでも健在だった。

ふんわり柔らかく、それでいて絹のようにシルキーで、しっとり弾力もある。

なんて健やかなシフォンケーキだろうか。

ふわふわケーキに卵色のカスタードクリームをこぼれんばかりにたっぷり、

濃い紫色のさくらんぼジャムを載せて、そ~っと口に運ぶ。

う・・・わぁ・・・ぁぁぁぁぁ・・・。

お・い・し・い~~~~~!

食べた瞬間、アタシもとろけそう(笑)。

まろやかで優しくて、なんてたって、卵の風味が素晴らしい。

元気な卵白と濃厚な黄身のバランスが絶妙なケーキと

ギリギリまで甘さを控えたカスタードクリームに

さくらんぼジャムの甘酸っぱさがアクセントになって最高。

本当に、卵が、違う。

畑で完熟したトウモロコシをついばんだコッコさんの卵。

天国のようなスイーツプレートにうっとり、

さわさわ夏空に緑の葉っぱがそよぐトウモロコシ畑が目に浮かぶようだ。

北海道農業の可能性が膨ませた

卵色のシフォンケーキ。

豊かな大地に心から感謝、です。

(写真は)

100%北海道産の卵の競演。

シフォンケーキと

古代ローマ生まれのロストクリーム、

特製カスタードクリームに

北海道のさくらんぼジャムを添えて。

至福の初冬のお茶時間。