リアルかさじぞう

しんしんと降る雪。

お地蔵さんの頭にも肩にも

真白な雪が降り積もる。

寒かろうとかさを差し出すおじいさん。

現代版「かさじぞう」のお話。

11月最後の週初めの月曜日。

朝刊にクリスマスの奇跡のようなお話が載っていました。

舞台は先月の夜、アメリカ東部フィラデルフィア。

高速道路で車がガソリン切れで立ち往生した女性に

偶然出会ったホームレスの男性が有り金でガソリンを買い与え、救出。

恩を感じた女性がこの男性のためにサイトを通じて募金を始めると

寄付が殺到、35万ドル(約3900万円)が集まったというのです。

記事が報じている詳細がまた素敵なのだ。

夜間に立ち往生、恐る恐る近くのスタンドに向かう女性に出会ったのが

ホームレスのジョニー・ボビットさん。

「車に戻って、鍵を閉めておいて」と彼女に言い残すと、

なけなしの20ドルで買ったガソリンの缶を手に戻ってきて、

その上給油までしてあげて、無事に帰宅させたというのです。

不安におののく女性の不安に寄り添い、彼女の安全を確保した上で

自分の有り金をはたいてガソリンを買い与え、助け出す。

困っている人のためにおのれの損得を考えずに行動する。

むむむ・・・これは・・・あれだ、あのお話とおんなじだ。

フィラデルフィア版「かさじぞう」ではありませんか。

大晦日の夜、お正月のお餅を買うために

おじいさんは手作りした五つのかさを売りに町へ出ます。

雪がどんどん激しくなるなか、村はずれに六つのお地蔵さんが。

その頭に肩にどんどん雪が降り積もるのを見て、

「お地蔵さんも寒かろう、このかさをかぶって下され」と

おじいさんは売り物の五つと自分がかぶっていたかさを

お地蔵さんにかぶせて家に帰るのでした。

てぶらで帰ってきたおじいさんの話を聞いたおばあさんは

「それは良いことをしましたね、

お餅なんかなくてもいいですよ」とニコニコ。

貧乏だけど心優しい老夫婦が眠りにつくと夜中に不思議な歌が聞こえ、

どんどん近づき、家の前にズシ~ンと何かを置く音が。

翌朝目覚めると、あ~らびっくり。家の前には

お正月用のお餅やご馳走がどっさり置いてあったとさ、おしまい。

舞台をフィラデルフィアに、かさをガソリンの缶に、

おじいさんをボビットさんに変えれば、まんま「かさじぞう」。

自分のかささえも寒そうなお地蔵さんに惜しげなく与える心。

立ち往生した女性のためなけなしの20ドルを差し出す心。

純粋に正しい行いをする者は必ず救われるというのは

おとぎ話の世界だけではなかったのだ。

しかも現代にはネットがある。

ボビットさんに恩返しをしたいとサイトを通じて募金を募り、

ネットが媒介することで感動が感動を呼んで

ついに3900万円の「イイね!」が集まったというところが実に現代的。

2017年版「かさじぞう」の語り部はネット、ともいえる。

当のボビットさんも大喜び、感謝祭はホテルで過ごすことができたとか。

今回のお互いの善意がボビットさんの今後の生活にプラスになれば、

おとぎ話に終わらないリアル「かさじぞう」となることでしょう。

クリスマスが近づいてくると

温かい奇跡を信じたくなる。

悲しいニュースも多いけれど、世界はまだ捨てたもんじゃない。

おじいさんのかさ、ボビットさんの20ドル。

人の「善意」を信じよう。

(写真は)

感謝祭の週末。

わが家はパンプキンパイのかわりに

自家製ココアシフォンケーキに

自家製甘さ控えめカスタードクリームを添えて。

ふかふかケーキは優しい気持ちになるね。