身近な神様
お鍋にザルにお椀。
暮らしに必要なものが
何でも揃う金物屋さん。
神様のお道具だって
お任せください。
夏の沖縄旅2017・最終盤7日目は朝からお買い物三昧。
首里や那覇の老舗で伝統の琉球菓子をゲット、
公設市場で「スーチカー」や「カチュー」など
お気に入りの沖縄食材を仕入れ、
市場のアーケードを奥へ奥へ進み、
大好きな手搾りジーマミ―豆腐も無事購入。
国際通りから市場本通りのアーケードに入り、
ひたすらまっすぐ行くと突き当たるのが
100mほどの超ローカル&ディープな「太平通り商店街」。
ここまで来ると観光客の姿はほぼ皆無、地元率100%、
安くて美味しい揚げたての天ぷらやお弁当が並ぶパーラーや、
断然お買い得で鮮度抜群の名物青果店、小さなかまぼこ屋さん等々、
普段着の素顔の沖縄の暮らしに触れられる大好きな商店街。
おおお、天井まで沖縄の暮らしが詰まっている。
鍋に食器に日用品に金物が所狭しと並ぶ圧巻の風景は
何度訪れても毎回写真を撮りたくなってしまう。
昭和レトロ感満載の太平通り商店街にあって
終戦直後からこの場所で店を開いてきた「高良商事」。
一体店内にどれほどの数の商品が詰まっているのでしょう。
陶器、漆器、ガラス製品、メラミン皿、家庭金物、
台所用品、調理器具、掃除用品まで、
店先にせり出した陳列棚の前には
「カゴの中150円」お買い得品の茶托やカップが並べられ、
さらに大きな赤札が賑やかに掲げられています。
「重箱・吸い物椀あります」「ビンシーあります」
「仏具・火の神・神棚あります」。
沖縄伝統の御願用具ビンシーに仏具、神棚に・・・
火の神・・・?え・・・?神様・・・まで揃えているの?
いやいや、さすがに神様まで品揃えはしておりません。
沖縄の身近な神様「火の神(ヒヌカン)」は
古くから脈々と受け継がれてきた沖縄の民間信仰。
かまどに宿る神様「ヒヌカン」を祀るためのお道具も
ちゃんと取り揃えておりますということ。
元来はかまどそのものを拝みましたが、
やがてかまどをかたどった3個の石をご神体として拝み、
時代の変遷とともに台所も変化、現在は陶製の香炉などを置いて
火の神の象徴として拝むようになりました。
台所に宿る神様ですからヒヌカンを祀るのは女性の役割、
仏壇を祀るのは男性の役割とされているそうです。
ヒヌカンは台所の火を使う場所近くに祀り、
その神具は神様の衣装の色である白に統一されています。
地域で違いもあるようですが、一般的には
御香炉、花瓶、水を入れる湯呑、塩を入れる高坏、
盃、ご飯を供える三器のウブク茶碗を配置。
今も昔も沖縄の女性たちは台所に宿るヒヌカンに
家族の健康や安全祈願、厄払いのお願いや吉事の報告など、
嬉しい時も悲しい時も静かに祈りを捧げているのです。
台所に神様がいてくれる。
ヒヌカンとはなんと身近な神様でしょう。
しかもヒヌカンは毎日忙しく働く女性たちにとって
とてもありがたい「お通し」という役割もしてくれるのです。
お墓や仏壇が遠く離れていたり、拝みに行けない場合など
ヒヌカンを「通して」拝むことができるのだそうです。
色々な神様と通じるチャンネルを持っているのですね~。
だからこそ、ヒヌカンの前では絶対人の悪口はNG。
色々な神様と通じているということは
悪口も転送されてしまうわけで、
これは気をつけなければなりませんね。
お喋りや噂話は残念ながら人間の好物だったりするからこそ、
身近な神様はきちんと戒めてくれるのかもしれません。
台所に神様が宿っていると思うと
何だかとっても心強い。
日々の暮らしの色々を
そっと相談できる神様がいてくれる。
いつもキッチンをキレイにしておこうって思えるし、
ヒヌカンは世界で一番身近な神様かもしれない。
にんじんしりしり器から
身近な神様のお道具まで。
ローカル&ディープな商店街で
またひとつ沖縄の祈りに触れた。
(写真は)
「火の神 あります」。
身近な神様のお道具もおまかせ。
沖縄の金物屋さんは万能だ。

