一寸の幸福

一寸の虫にも

五分の魂。

一寸に満たない虫が

そっと教えてくれる

大きな幸福。

このところ予定が立て込んでいましたが、

昨日は久しぶりのゆっくり金曜ごはん。

メインは漁師さん直送の立派な秋鮭。

不漁が心配されるだけにありがたく大切にお料理しましょう。

またまた我が家の定番「香草パン粉オーブン焼き」にしましたが、

今回のハーブはローズマリー、タイムとはまた違う清涼感があります。

秋鮭と一緒に焼いたキタアカリもほっくほく。

その甘さは思わず「サツマイモ?」っと思ってしまうほど。

バラ色の秋鮭と黄金色のキタアカリ、どちらも産地直送。

色づく紅葉のような北海道の恵みに心から感謝、です。

そして副菜も畑から直送の大根と白菜が大活躍。

大根はニンジン、豚肉とともに五香粉を効かせてこっくり煮、

さあ、大きな白菜はどうしましょうか。

う~ん、野菜室にえのきだけがあるなぁ、

買い置きのツナもあわせて中華風とろとろ煮にしようっと。

秋になるととろみが恋しくなるもんね~。

さっそく、立派な白菜をまな板にのせてざくっと半分に。

みずみずしくて葉っぱも元気、きょうは半分でいいわね、と

ざくざく切り始めようとしたとき、

視界のはしっこで小さな小さな緑色の物体が動いた、気がした。

いや、気のせいではありませんでした。

ひょこひょこ、ひょこひょこ、

まな板の向こう側へ必死で逃走しようとする緑色の正体は

ちっちゃなちっちゃな極小サイズの青虫くん。

体長1㎝にも満たない青虫くんが懸命に脱走中なのでした。

大きな白菜のなかでのんびりしていたら

いきなり真っ二つに割られたのですから、

そりゃあ、びっくりするわよね~(笑)。

基本的にくねくね系は得意ではありませんが、

あまりの極小サイズ、あまりの必死さに微笑ましく思えてきます。

と言いながら、あああ。ごめんなさい~、なんて非道なアタシ。

そっとティッシュで捕獲し・・・そっとゴミ箱へ。

庭付き一戸建てならすぐ逃がしてあげたいところなのですが、

マンションなもので、土がすぐそばになくて、ああごめんなさい(泣)。

一寸に満たない虫のご冥福を祈りながら、料理再開。

食卓で青虫くん事件を報告しつつ、

懺悔と共に白菜のとろとろ煮を味わう。

「おお、この白菜、味も食感もしっかりしている」と夫の感想。

どれどれ、ぱくり。確かに青虫くんが潜んでいた白菜は味が濃い。

育った畑の豊かさ、土の滋味、太陽の恵みをダイレクトに感じられる。

食材に心からも感謝、ですね。

家で作り、家で食べることで、食材への感謝の心が育まれる、と

ある狂言役者さんが新聞の企画記事でおっしゃっていましたが、

昨日の青虫事件でそのことを実感しました。

外食、中食、便利な料理キットなどなど食卓の風景も大きく変わっていますが、

産地から運ばれた食材を材料に家で作り家で食べることで見える風景がある。

一寸に満たない虫が大地の豊かさを教えてくれました。

この白菜は、とびきり美味しいよ、ボクが保障する、ってね。

夫婦そろって家で仕事をする作家の朝井まかてさんも

朝刊のエッセイをこんな一文で締めくくっていました。

「我が家の食卓が最もおいしいと思えることが、

何よりの口福なのだろう」。

同感ですぅ、まっことその通りであります。

小さな口福、大切にしていきます。

ごめんね、ありがとう、青虫くん。

(写真は)

我が家の夏の口福

那覇の八百屋さんで仕入れた

へちまの味噌煮込み。

ナーベラーンブシー。

秋から冬へ口福風景も移りゆく。