チャンチャンカチュー
チャンチャン。
軽くていい音がしたら
上等のかつおぶし。
カチューの香りは
市場のフレグランス。
夏の沖縄旅2017・最終盤7日目は朝からお買い物三昧。
首里の老舗で伝統琉球菓子を、丸玉製菓工場まででかけて
焼きたてのタンナファクルーをゲット。
開南「仏壇通り」で沖縄の祈りの心に触れ、
午後は公設市場で伝統保存食「スーチカー」を買い、
市場名物ドリンク「冷やしレモン」に癒され、
国際通りの歴史に思いを馳せながら、そぞろ歩き。
琉球最古の老舗漆器店で一目惚れした
青い漆のネックレスをさっそく身に着け
さあ、もう一度市場のアーケードに戻りましょう。
沖縄食材買い出しはこれからが本番。
まずは我が家の食生活に欠かせないカチュー。
沖縄の味を底から支える基本の「き」。
それがかつおぶし「カチュー」。
沖縄は日本一のかつおぶし王国。
琉球王朝時代は宮廷のおもてなしに絶大な力を発揮した
歴史文化遺産的食材でもあるのです。
沖縄で使われるかつおぶしは本土の枯節と違って
かび付けしていないいわゆる裸節。
鰹を燻して乾燥させた荒節の表面のタールを削り取ったもので
とにかく鰹の香りが鮮烈なのが特徴。
カチューの香りは昔ながらの市場のフレグランスなのでした。
国際通りから市場中央通りを奥へ奥へ。
観光客の姿がすっかり途絶え地元色が一気に濃くなったあたりに
いつもカチューの特大袋を買い求める鰹節専門店があります。
・・・というか・・・あったはず・・・ここよね・・・確か・・・。
あれ・・・?シャッターが完全に閉まっている・・・臨時休業・・・?
閉じたシャッターには一枚の張り紙が。
何と・・・まさかの閉店・・・。
沖縄県漁連鰹節買受人指定店「山本鰹節店」、
長年のご愛顧に感謝しながら閉店していたのでした。
ショ~ック。
実は沖縄のかつおぶしに近年異変が起きているそうで、
県内スーパーでも従来の裸節に並んで
枯節が目立つようになっているとか。
鰹節の生産全体が資源量の問題もあり減ってきていて、
もともと沖縄県用に生産が限定されていた裸節は
枯節以上に影響がでてきているらしいのです。
地元市場の老舗鰹節専門店がひっそり店をたたんだ背景に
沖縄かつおぶし文化の変容が関係しているのでしょうか。
閉じたシャッターを寂しく見つめ、しばし茫然。
しかし、ここであきらめるわけにはいきません。
「どこか、いいかつおぶし買える専門店、ありませんか?」
気を取り直し、ご近所のお店の人に早速聞き込み。
「ああ、公設市場のそばの、松本商店だね」。
自信満々、速攻で返答が返ってきました。
「あそこは間違いないよ~」。
松本商店・・・。どこかで聞いたような気がする。
そうだ、伝説の料理人山本彩香さんご用達のお店だ。
琉球料理の名店と謳われた「穂ばな」の店主。
お店はもう閉じてしまいましたが、
その食の美を極めた味わいは沖縄料理のレジェンド。
山本彩香さんの料理本「てぃーあんだ」は我が家のバイブル。
そうだ、そうだった、山本さんが「上等」と太鼓判を押す店が
松本商店、なのでありました。
お店の場所は、すぐわかりました。
アーケードを公設市場入口に向かって歩いていくと、
ぷ~んとかつおぶしの鮮烈な香りが濃くなってくるのですもの。
おおお~、店の前に上等なカチューがゴロゴロ積まれていました。
料理人やプロが絶大な信頼を寄せる鰹節専門店、松本商店です。
鰹節にはミーブシ(雌節・腹側)とウーブシ(雄節・背側)の2種類あり、
味が濃いミーブシか、あっさりしたウーブシか、
削り方も厚め、薄めか、血合いは入れるか、除くか等々、
さまざまなプロフェッショナルな要望に応えてくれる老舗専門店。
立派なカチューの山には
「KATSUO BUSHI」と英語のポップも。
ふむふむ「Dried shaved bonito flakes・・・」は
味噌スープやスープストックに使うますよと、
その用途がわかりやすい英文で説明されています。
プロだけではなく外国人観光客も沖縄土産に買っていくのね~。
ちゃんと「Vacuum-packing」もしてくれるらしい。
以前読んだ本の中で山本さんは
2本のかつおぶしを軽く打ち合わせて
「チャンチャン」と軽い音がするものが上等だと言っていたっけ。
プロの料理人っぽく、旅人も「チャンチャン」してみたいけど、
上等なかつおぶしの山を目の前にすると、百年早い気がする(笑)。
とりあえず、今回は店主おすすめのお徳用大パックを購入。
久米島産アーサーとクーブイリチー用の切昆布もゲット。
分相応のお買い物にとどめておこう(笑)。
いつか、いつの日か、
ミーブシとウーブシを打ち合わせて
チャンチャン、
上等のカチューを選んでみよう。
いつの日か、ね(笑)。
(写真は)
圧巻。
沖縄料理の味の基本。
松本商店のカチューの山。
英語のポップが不思議に似合う。
世界に自慢したい食材だ。

