美味しい混沌
もうもうと上る湯気。
黙々と餃子を包むマダム。
喧騒と笑顔と美味が入り交じる。
亜熱帯アジア市場の
美味しい混沌。
とその前に、大型の台風18号が再発達して北上中。
今日日中には北海道上陸の恐れが出てきました。
日本海を進むうちにエネルギーをチャージ、
当初の雨台風から今後は風台風に変化するようで、
雨のピークが去った後も暴風への警戒は長く続きそう。
収穫目前のリンゴなど秋の実りへの影響が心配です。
大きな被害が出ませんように祈りながら、
旅のリポートを続けましょう。
亜熱帯アジアの濃密な空気感。
個性的な店や屋台がひしめく栄町市場は
地元客はもちろん海外からの観光客も訪れる
ディープでノスタルジックな那覇の人気スポット。
昭和レトロな市場は日暮れと共に大人のワンダーランドへ変身。
もつ煮、串カツからお洒落なフレンチ総菜まで
美味しいはしご酒が楽しめる様子は
美食バルが連なる「那覇のサンセバスチャン」との説もあります。
夏の沖縄旅・終盤6日目の夜は栄町市場デビュー。
まずは人気ナンバーワンの名店へ。
「 べんり屋 玉玲龍(イウリンロン)」。
小さな店の前に4席だけのカウンターがちょこん、
その横に板を並べた即席風のテーブル席がしつらえられ、
まだ6時前というのにすでに大盛り上がり。
奥の厨房からもうもうと上る湯気、
蒸篭や皿を手に小気味よく回遊する店員さんたち。
ここは台湾?香港?広州?上海?
熱帯アジアの美味しい混沌にくらくらしてきた。
年季の入った看板には「おかずの店 べんり屋」とある。
どこからどうみても熱帯アジアの点心屋台が
なんで、おかずの店?
実は50年前までは総菜を売るお店だったのですが、
店を受け継いだ2代目店主が名前をそのまま引き継ぎ、
小籠包や餃子をはじめとする点心のお店に変えたのだとか。
北京出身のマダムが黙々と包む点心は味も食感も本格的、
本場中華と沖縄料理が融合した小皿料理も揃う「おかずの店」は
夕方には長蛇の列が並ぶ栄町市場の人気店となったのでした。
確かに、本日も、行列なり。
こりゃ、座るの、無理かしらね~。
台湾夜市のような賑わいに一瞬あきらめかけましたが、
テイクアウトした料理を別の店に持ち込む人も一緒に並んでいて、
「はい、カウンターどうぞ~!」と意外にすんなり座れちゃった。
ラッキー!はしご酒天国栄町市場、長居は野暮、持ち込みOK、
お客さんの楽しみ方も粋だった。
さあ、食べるぞぉ~。
何はなくとも看板メニューのツートップ。
1皿10個で500円の「焼餃子」と
一蒸篭8個で650円の「小籠包」、
そして一缶300円の冷え冷えオリオン缶ビールを注文。
あまりに庶民的プライスに泣けてくる~。
ディープな市場のカウンターでカンパ~イ!
「はい、焼餃子、ですね~!」。
サンゴ礁の熱帯魚のように小気味よい動きの店員さんが
ささ~っと熱々のお皿を運んできました。
まるっとしたフォルムが愛らしい焼き餃子。
黄金色の焼き色が最高。さっそく、いただっきま~す。
カリッ!はふっ・・・はふはふ、じゅわぁぁぁぁ~!
いや、これは、たまらん、最上級の美味さに卒倒しそう。
手製の皮は薄からず厚からず、表面カリカリ、中モチモチ。
プリプリの餡とともに噛みしめると口中はパラダイス。
自家製ラー油がまた干し蝦の旨味がきいていて
絶品餃子の味を更に引き立ててくれます。
食べやすい一口サイズも嬉しい。
これは一人で一皿ぺろり、かもね。
「はい、小籠包です、熱いから気をつけて下さいねぇ、
こちら黒酢と生姜、お好みでどうぞ~」。
人気店は料理が来るタイミングも絶妙だ。
こちらもキュートなヴィジュアルにきゅんとする。
透明感のある皮にそ~っと優しく包まれたのでしょう。
繊細なひだひだが美術品のように美しい。
ひとつひとつ丁寧に作られているのが伝わってくる。
北京生まれのマダムの愛情だ。
さあ、蓮華の上にそぉ~っと載せて、
生姜の千切りをそっとトッピング、
天女の羽衣のような皮を箸の先でそっとつくと
じゅわ~~~んと金色の極上スープがあふれ出す。
熱々スープをそっとすする・・・昇天(笑)。
この世の美味しいを全部詰め込んだような美味さだ。
小さな蓮華の上でほわほわ湯気を立てる小籠包に
ふぅ~、ふぅ~、息をかけてちょっと冷ましたら、
一気に口中へ。う、うんまぁ~~~い!
ここの点心は完璧な世界、パーフェクトワールドだ。
皮と餡と肉汁、自家製ラー油と黒酢と生姜と。
一口サイズの焼餃子、小籠包だけで
中華のフルコースを食べたような満足感がある。
那覇は安里の栄町市場。
北京生まれのマダムが包む丁寧な点心は
まるで一口サイズの満漢全席。
美食の世界を制覇したような達成感がある。
次から次へと運ばれる小皿料理も気になるけど、
食いしん坊の旅人は大満足で席を立つ。
さ、ホッピング天国、
2軒目はどこにしようかな~。
五感をぴくぴくさせながら
ディープな美食混沌空間を彷徨する。
栄町市場、万歳。
(写真は)
「べんり屋 玉玲龍」の焼餃子。
熱々、はふはふ、肉汁じゅわぁ~、
冷え冷えの缶ビールをぐびぐび。
生きてて良かった~(笑)。
神様に感謝したくなる絶品餃子。

