祈りの県産品
ちゅひらは6本。
2枚合わせて12本。
半分に割れば3本。
祈りの心を数で表す。
素敵な算術。
夏の沖縄旅・最終盤7日目リポート。
札幌へ戻る前日はお買い物三昧。
首里の老舗「新垣カミ菓子店」で伝統の琉球菓子を購入後、
長田の丸玉製菓工場で焼きたてタンナファクルーをゲット。
那覇中心部への帰り道に通りかかった開南「仏壇通り」では
最古参の照屋漆器店の新店ビルに立ち寄り、
沖縄の暮らしに息づく祈りの心に触れました。
ビンシーやトートーメー(位牌)」など
美しい工芸品のような沖縄独特の御願道具には
それぞれに深い精神文化がこめられていて、
旅して聞いてみなければわからなかったことがたくさん。
祈ること、感謝すること、幸せを願うこと。
「仏壇通り」大切なことを教わったような気がします。
「ありがとうございました」。
突然の訪問にも関わらず親切丁寧に説明をしてくれた
若い男性スタッフにお礼を言って、
漆器店を後に、しようとした時、あっ、お線香!
そうだった、実家の母愛用の沖縄線香を買うんだった。
すっかり、忘れていました(笑)。
くるりと踵を返してまた店内へ。
1階フロアの奥に沖縄独特のお線香、
「ヒラウコー(平御香)」が積まれていました。
黒く平たい一枚に5本の筋が入り6本が連なったヒラウコーは
正方形型にぎっしり積み上げられた形で売られています。
いつもは公設市場の昔ながらの荒物屋さんで買っていましたが、
せっかくならば伝統の「仏壇通り」で入手いたしましょう・
どれどれ・・ん?・・・二種類あるの?
真四角いヒラウコーの包みは
割れないように上下をボール紙で挟んだ外観は同じですが、
よ~く見ると「読谷」と「糸満」、製造地が違っている。
「あの、二種類ありますけど、どう違うんですか?」と
先程の男性スタッフにまたまた質問してみると、
「昔から南部の人は糸満線香、中部や北部の人は読谷線香を
お求めになるようですねぇ。ただ、香りなどの違いは、
正直、僕らにもよくわからないんですけど(笑)。
こだわる方は今でも多いですよ」とのこと。
へぇ~、これもまた知らなかった~。
那覇の市場あたりで売ってるヒラウコーには
とくに「糸満」とも「読谷」とも表記されてない、
すっぴん状態だったから、全く気がつかなかった。
そうか、沖縄ヒラウコーには二大勢力があったのか。
さすが「仏壇通り」の最古参専門店、ちゃんと両方揃えているのね。
で、旅人は悩む、どっちにする?
両方に「県産品」と誇り高き表示があり、
専門家も品質にそう相違はないという。
お魚が美味しい糸満漁港で絶品料理も楽しんだし、
やちむん聖地巡礼で読谷村には毎度お世話になっているし、
どちらも旅人にとっては魅力的なエリア。
う~む、選びがたいわぁ。
その昔、ヒラウコーを作るのは
タブノキの皮、木炭、ンムカシ(芋粕)をすりつぶして練り、
一条ずつ搾りだし、それを更に接着するという、
とても手間のかかる作業だったといいます。
現在はンムカシに変わって小麦粉などが原料になり、
圧搾機など機械の力で効率的に作れるようになりましたが、
変わらないのは独特の平たい形。
6本が連なる一片は「ちゅひら」と数えます。
その数にそれぞれ意味があり、御願によって変わります。
二片12本は12か月、干支を意味し、
通常は一片を半分に割った3本をあげる場合がほとんどで、
この3本には「天・地・人」の調和の意味があるそうです。
ちなみに四片(シヒラ)24本は天の十二支と地の十二支を示し、
いわゆる神人(かみんちゅ)だけが使用する数だとか。
ほかにに7本、9本、15本、17本などにも
それぞれ意味があり使い分けるそうですが、
文系の頭では次第に数字がこんがらがってくる。
沖縄には数学の神様もいらっしゃるのだろうか。
でも、3本は天と地と人の調和、
これはすんなり覚えられる(笑)。
どちらか迷いましたが、
今回は読谷線香製造所の「読谷線香」をチョイス。
次の機会は海人に敬意を表して糸満線香にしましょう。
美しい島の天と地と人に感謝して、
今度こそ、本当に(笑)
開南仏壇通りを後にするのでした。
(写真は)
沖縄ヒラウコーの2トップ。
読谷線香と糸満線香。
仏壇通りの専門店なればこその
ツーショット。
どちらも祈りのための県産品。

