南国遺産食堂
青い海と空。
干したイカや魚がのどかに揺れる
昼下がりの静かな漁港の真ん前に
暖簾もない小さな店が佇んでいた。
なくなってほしくない南国遺産。
もう、半袖もあずきバーもさよならね。
夏をあきらめさせるように朝から雨が降り続く。
一雨ごとに季節が進み、空気は冷え込み、木々は色づく。
長袖、温かい緑茶にお饅頭の秋がやってきた(笑)。
夏が過ぎ去りましたが、沖縄旅終盤6日目リポートを再開。
あの青い空と海と白い入道雲を思い出しながら。
夏の沖縄旅2017、6日目は本島南部の南城市クラフト散歩。
青い海と聖地と工芸のまち南城市に点在する
個性的で素敵な工房を訪ね歩いています。
手染工房「Doucaty」から「陶房 眞喜屋」「宮城陶器」、
そして造形作家佐藤尚理さんの「器 bonoho」へ。
琉球王朝を統一した尚巴志の生まれた佐敷地区のご近所同志、
bonohoで買った佐藤さんの器を宮城さんの工房へ持ち込み、
一緒に発送してもらうという旅人のわがままも快諾、
素敵なおつきあいをされているのですねぇ。
工房巡りに夢中になっていましたが、
気がつけばお腹はぺこぺこ、お昼もとっくに過ぎています。
さあ、6日目のもうひとつのお目当てのあのお店をめざしましょう。
「器 bonoho」の佐藤さんがある本でこっそり(笑)お勧めしてた
八重瀬町の「南国食堂」であります。
「これから、例の南国食堂、行ってきます!」と宣言する旅人に
「そんなキレイなお洋服で行くような店じゃないけど(笑)、
でも絶対美味しいですよ!今のうちに行っておいて下さい。
沖縄でもああいう食堂はどんどんなくなっていってますから」と
佐藤さんご本人から、再プッシュ、
むふふ、ますます期待に胸が膨らむ。
お洒落なカフェもようなギャラリーに別れを告げ、
車は南城市から知念半島を南下、
八重瀬町港川の具志頭にある静かな漁港へ。
漁もセリもとっくに終わった昼下がりの港は人影もなく、
軒先に干したイカや魚がのどかに揺れています。
青い海と空と真っ白な午後の日差しの下、
港の真ん前に一軒の食堂がぽつんとありました。
コンクリートむき出しの建物には
食堂らしき暖簾ものぼりもありませんが、
外壁に「南国食堂」と黒いペンキでダイレクトに書かれている。
なんとも旅情をそそる店名、超ノスタルジックな風情。
今にもふらりと高倉健さんか渥美清さんが店から出てきそう。
確かに、佐藤さんが例の本で紹介していた通り、
「ある意味 インスタジェニック!」な佇まい。
映画監督でもなんでもありませんが、
絶対この食堂を舞台に一本撮ってみたくなる衝動にかられる。
沖縄本島は八重瀬町港川の「南国食堂」。
そこに佇むだけでこれほど物語性のある食堂はそうそうない。
ず~っと地元の人に愛されてきたのでしょうねぇ。
暖簾など掲げずとも港の人々の胃袋を支えてきた
そんな正直な気概が外観から感じられる。
普通のガイドブックはまず載っていない
穴場中の穴場な超ディープな南国食堂。
こうした昔ながらの沖縄らしい食堂は再開発や後継者不足で
最近はどんどん姿を消しつつあるようで
「今のうちに行っとくべき」と佐藤さんが力説するわけが
実物を目の当たりにすると危機感をもって迫ってきます。
食堂は地域の人の営みをささえてきた大事な存在。
ユネスコの世界遺産は
遺跡、景観、自然など人類が共有すべき
「顕著な普遍的価値」を持つ物件と定義されていますが、
小さな漁港に佇む小さな南国食堂もまた
沖縄を愛する人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」がある。
野宮的南国遺産食堂にリスト入りだ。
なくしてはいけない。こんな素敵な超ディープな食堂。
ってなわけで、売り上げに少しでも貢献すべく、いざ、店内へ。
名物「○○チャンプルー」が待っている。
絶品お昼ご飯のお話は明日へと続く。
(写真は)
ね?
今にも健さんか寅さんが
ふらりと出てきそうでしょ?
ある意味、超インスタジェニックな南国食堂。
なくしたくない南国遺産。

