南の島のムーミン

サトウキビ畑と

亜熱帯の緑と

青い空と眩しい太陽。

南の島の美しい陶房で

ムーミンを想う。

秋来ぬと目にはさやかに見えねども、

身体は正直、朝晩は二の腕が肌寒い(笑)。

9月の声とともにとうとう長袖の登板。

夏大好き人間としてはもっと頑張りたかったのですが、

風邪をひいてはもともこもなく、無念の半袖断念。

ああ、本当に、今年も、夏が行く・・・(涙)。

ゆく夏の惜別をこめて、

夏の沖縄旅2017、終盤6日目リポートを続けましょう。

青い海と聖地と工芸の街、本島南部・南城市をドライブ、

魅力あふれる個性的な工房を巡るクラフト散歩。

まずは琉球王朝を統一した尚巴志の生まれ故郷である

南城市佐敷地区を目指しました。

昔ながらの小道が入り組む街並みにある

開放的な手染作品の工房「Doucatty」を訪問後、

次なる目的地に向かうものの、またまた迷子。

自信満々のカーナビが案内した場所は全くの逆方向。

地図を頼りに仕切り直し、直接工房にお電話をして、

道順を確認しながら、ようやくたどり着きました。

ずっと来たかったやちむんの陶房です。

風に揺れるサトウキビ畑。

車一台がようやくの細い小道には

歴史を感じさせる古い大きな亀甲墓。

のどかな南の田園風景が広がる佐敷平野に

登り窯をしつらえた工房と

白い漆喰が美しい古民家ギャラリーがありました。

伸びやかで端正な器が人気の「陶房 眞喜屋」。

もう、佇まいが、素敵。

工房もギャラリーもしんと静まり返っていますが、

電話口で奥様らしき女性が優しく道案内してくれてましたから、

大丈夫よね・・・?

「眞喜屋」と小さな木の看板がそっと掲げられた

古民家ギャラリーの扉をそっと開け「ごめんくださ~い」

と声をかけてみると、奥の方から「は~い」とお返事が。ほっ。

「ああ、ようこそ、いらっしゃいませ。

お電話下さった方ですよね?」

はい、カーナビ信じて迷子になった旅人です(笑)。

清楚な笑顔が美しい奥様。古民家によくお似合い。

「ナビにまったく全然違う場所に案内されちゃって」と、

事の顛末を話すと「あ~そうみたいなんですよね~」とのお返事。

「電話番号だと何故か全然違う場所が出るみたいで、

迷われたお客様がけっこういらっしゃるんですよ。

なんだか申し訳なくて」とナビに代わりに恐縮される奥様。

却ってこちらが恐縮、そのお人柄にほっとします。

「眞喜屋はあいにく留守をしているんですけど、

どうぞ、ごゆっくりご覧になってくださいね」。

はい、ありがとうございます。ではお言葉に甘えて。

古民家を改装したギャラリーは素足に心地よい畳敷き。

窓の外は夏の太陽が眩しい盛りですが、

室内はひっそり、しんとした静寂がとっても心地よい。

うわぁ・・・素敵・・・。

足の低いテーブルに美しい器が端正に並んでいます。

伸びやかな藍色の唐草模様、美しい白化粧。

はっとするようなコバルト釉薬の酒器や

ほの温かさを感じさせる白磁の器も。

まさに「眞喜屋ワールド」。

陶房の主は沖縄生まれの眞喜屋修さん。

沖縄県立芸術大学を卒業後、

旅人もやちむん聖地巡礼で必ず訪れる大嶺工房、

沖縄陶芸界の巨匠大嶺實清氏に師事、2001年独立、

生まれ故郷である首里の城下町に工房を持ちましたが、

2013年登り窯のある工房をこの南城市佐敷に構えたのでした。

端正で美しい器たちが静かな環境で

穏やかに営まれる作陶の日々を物語っているようです。

しんと静謐な古民家ギャラリー。

藍の絵付けが華やかな白化粧のお皿。

鮮やかなコバルト釉に白磁の器などなど。

眞喜屋さんの作品は繊細でバランス感が絶妙。

厚ぼったいやちむんのイメージとは一線を画しています。

そして、不思議に、異国の情景が浮かんでくる。

端正な白磁の壺は李朝白磁を思わせるし、

コバルト釉の酒器は古代オリエントの宝物のようで

どこかエキゾチックな匂いがする。

そして藍色の唐草がモダンに絵付けされた白化粧の大皿。

お皿を縁どるように選び抜かれた手描きの線が

丁寧にそれでいて自由に大らかに描かれている。

手に取るとほんのり温かさを感じたような気がした。

そして何故か、ムーミンを思い出した。

そう。

沖縄の焼き物なのに、

どこか北欧食器を思わせるような温かみがあるのです。

フィンランドの老舗「アラビア」の器のような。

手に馴染むフォルム、優しい白化粧、洗練された藍の絵付け。

南の島で思いがけずムーミンに出会ったような不思議な感覚。

このお皿は北海道の食卓も温めてくれるに違いない。

札幌に連れて行ってあげるね、南の島のムーミン。

眞喜屋さんは学生時代に出会った

古いやちむんのコバルト絵付けに衝撃を受け、

以来、沖縄の古陶や李朝白磁など

古への敬意が創作の源流にあるのだそうです。

沖縄は古くから中国や朝鮮半島、東南アジアと盛んに交流、

世界に開かれたオープンな芸術性と悠久の縦の時間軸。

のどかな南の島の古民家ギャラリーから

果てしないロマンが広がっていく。

素敵なやちむんは

感性を大いに刺激する。

南の島の陶房で

旅人はムーミンに出会った。

うふふ。

(写真は)

ず~っと

日がな一日時間を過ごしたくなる。

「陶房 眞喜屋」の古民家ギャラリー。

李朝朝鮮へ、古代オリエントへ、北欧へ。

やちむんの器で時間旅行ができる。