愛しいとうがん

手のかかる子ほど

かわいい。

手のかかる野菜ほど

おいしい。

愛しいとうがん。

夏の沖縄旅リポートはちょっと週末休日。

本日は沖縄でもおなじみの夏野菜「冬瓜」のお話。

まるで冬の野菜のような名前ですが、旬は夏。

熱帯アジア原産のウリ科の冬瓜は亜熱帯の沖縄では

代表的な夏野菜「で「シブイ」と呼ばれ、

市場などでゴロゴロ大きなシブイをよく見かけます。

「素瓜」「白瓜」がなまって「シブイ」とか。

昨日の金曜ご飯の主役は

北海道産の秋刀魚と冬瓜のツートップ。

夏の終わりと小さな秋を予感したのか、

この秋刀魚と冬瓜が急に食べたくなったのです。

秋刀魚は順当にご近所スーパーでに並んでいましたが、

冬瓜は姿はなし。そうよね、

沖縄と違ってめったにみかけないもんね。

と思ったら、ちょいとこだわりの八百屋さんで発見。

これがまあ、なんと手頃なミニサイズ。

神奈川の三浦市農協特産の「小とうがん」とか。

こぶりなサイズで可愛い恐竜の卵みたい。

さっそくゲットして、いざクッキング。

きれいな緑色を活かした夏の煮物に仕上げましょう。

せっかく色の美しい冬瓜が手に入ったので、

レシピを色々検索してみると「下処理」が大事とある。

和食の達人が指南する方法で、ちょいと手間をかける。

まずはピーラーで濃い緑の表面だけ剥く、のね。

緑の部分を残すことで色も美しく、防げるらしい。

なるほど。

冬瓜をえいやっと4つ割りにして、種とわたを取り、

ピーラーで皮の表面を剥く・・・が、これが難儀。

ぴかぴか滑らか過ぎてピーラーがつるりと滑ってしまうのだ。

相当苦労しながらなんとか濃い緑の部分だけ剥いたら、

さらに薄緑の皮の方に幅1~2ミリ間隔で浅く包丁を入れるとな。

イカの下処理の要領ねぇ、どれどれ・・・。

と、これが皮むきに輪をかけて大変。

濃い緑の部分しか剥いていないので結構固いし、

微妙なカーブを描く冬瓜に包丁を細かく入れていくのは至難の業。

美味しい冬瓜への道は遠いなぁ・・・。

なんとか手や指がつりそうになりながら(笑)、

細かい包丁目を入れ終わるものの、

結構な硬さの表面にいささかの不安を感じる。

これ、本当に、柔らかく煮あがるのか?

いやいや、達人のレシピを信じよう。

食べやすい大きさにカットして、塩ふたつまみほどでもみ、

お湯で7~8分下ゆでし、冷水にとって水気をふく。

ふぅ~・・・けっこう手がかかるのね~。

この後は自分なりのレシピで夏の煮物に仕上げます。

北海道の昆布と沖縄の鰹節(カチュー)でとっただしに

酒、味醂、醤油を加え、下ごしらえがすんだ冬瓜を入れ、

煮汁が沸いてきたら、鶏むね肉のひき肉を投入、あくをとり、

ことこと紙蓋をして煮込んでいきます。

煮崩れないように時々様子をみながらね。

う~ん・・・美味しそうな匂いが漂ってくる。

そろそろいいかなぁ~、うん、冬瓜も透明になってきた。

最後に水溶き片栗粉でとろみをつけたら完成。

蓋をして味がしみこむようにそのままなじませます。

しかし・・・仕上がりが気になる・・・。

例の、微妙に固い、薄緑色の皮だ。

ちょっとだけ味見しておこう。

う~ん、確かに表面だけしか剥いていないので、

美しい翡翠色が保たれている。なんか料亭っぽい。

菜箸でその表面をちょっとつんつんしてみると・・・、

コツコツ・・・硬っ!ずいぶんと頑固な手応えではないか。

試しに一切れを小皿にとって、恐る恐る味見。

馥郁としただしが十分に沁みて、実に美味、だが、

硬っ!薄緑の皮は明らかに硬い。食べられないことはないが、

いささかプラスチックっぽい硬さはいかんともしがたい。

どうしよう・・・。

味は抜群なのに、皮が硬い(涙)。

いや待てよ、このまま蓋をして余熱で柔らかくなるかも。

と一縷の望みをもって時間を置きましたが、んなわけはない。

わぁ~ん、あんなに丁寧にした処理したのに~(泣)。

プロ仕様のピーラーとかでもっと深く剥くべきだったのか。

原因を色々考えてみるが、

どうする私、どうする冬瓜。

食べて食べられないことはないが、

歯触りの元気過ぎる皮はストレスがあり過ぎる。

仕方がない。

美しく煮あがった冬瓜をひとつひとつそっととり、

薄緑の硬い部分をペティナイフで薄く剥いたのでした。

わぁ~ん、あんなに苦労して包丁目まで入れたのに(涙)。

心の中では半泣きで(笑)、

硬い部分を剥き終わった冬瓜を

大嶺工房の青い大皿に盛り付け、

透明な鶏ひき肉あんをとろりとかけていく。

紆余曲折はあったが、結果オーライ。

「夏の終わりの冬瓜の煮物」完成。

はたしてそのお味は・・・。

なんと滋味深く、繊細で、はかなくも旨みたっぷり。

手がかかる野菜ほど、美味しい、だね。

秋の気配を知らせる秋刀魚と

夏の終わりを予感させる冬瓜と、いとうまし。

あてなること、このうえない愛しい冬瓜よ。

(写真は)

紆余曲折の一品。

夏の終わりの冬瓜よ。

あえかではかない旨さが

愛しく、切ない。

ああ、夏が行く。