みんなあっぱりしゃん

心に沁みる島唄。

心に寄りそう三線。

心躍らすカチャーシー。

沖縄の夜の名居酒屋で

みんなみんな、あっぱりしゃん。

夏の沖縄旅三日目の夜。

海と文化遺産と祈りの地である本島南部を巡り、

台風の影響か、突然のスコールの洗礼を浴びながら、

那覇の久茂地川沿いの名居酒屋「隠れ家あっぱりしゃん」へ。

古民家風の店内ははじめてなのに思わず「ただいま」と

言いたくなるくらい居心地がよく、さすが予約必至の人気店、

沖縄の夜としてはまだ序の口の6時過ぎに既に満席。

観光客や地元のお客さんたちがゆったり楽しく過ごしています。

ここは石垣島出身で店主が歌い上げる島唄と

珍しい八重山食材を使った料理も楽しめるお店。

ちなみに店名の「あっぱりしゃん」とは八重山の言葉で

「可愛い、きれい、美しい」という意味だとか。

島唄ライブは毎日頃合いを見て開催されるそうで、

とりあず元気な厨房前のカウンターに陣取り、

さあ、まずは念願のオリオン生を注文。

え~っと、それから、そうそうコレコレ。

創業当時からの名物「ちきあぎ」は鉄板。

イカのすり身と野菜を油で揚げた石垣特有のかまぼこ、

これとオリオン生さえあれば、人生パラダイス(笑)。

さらに八重山直送のオオタニワタリのてんぷら等々、

ご自慢のアテにオリオン生をぐびぐび。

沖縄感を満喫しながら1日を締めくくる幸せを

沖縄中の色々な神様に感謝です。

ちきあぎは揚げたて熱々、ぷりぷり&ふんわり。

シダ植物の一種オオタニワタリはシャキシャキした食感、

青々とした爽やか香り、ああ、石垣島を想い出します。

叩きつけるような雨も一瞬であがり、

濡れた洋服もあっという間に乾き、

ジョッキのお代わりなど楽しんでいるうちにはぁ~満腹。

お昼が遅かったせいもありますが、今晩は早めにあがろうかと

「お勘定をお願いします」とスタッフに声をかけました。

するとお勘定書きを手にやってきたスタッフさん、

「もうすぐライブが始まるんですけど、良かったら、

もしお時間あったら、是非聴いていかれませんか?」と

教えてくれるではありませんか。ナイス気遣い。

「それはもちろん!じゃあ、もう一杯飲んできます♪」

「ありがとうございます!」双方笑顔。

ここまで来て島唄聴かずに帰れないよねぇ。

ちょっと可愛いパッションフルーツサワーなど頼んじゃった。

とほどなく、旅人が座っているカウンターのすぐ横に

八重山民謡の名手、店主の長浜タケヨシさんが三線片手に登場。

民謡の名手と聞いておじいちゃん風の人を想像していましたが、

黒いTシャツがお似合いのミュージシャン、

ちょっとイケメンのはなわさんという感じ。

「皆さん、こんばんわ~!」

手を伸ばせば届いちゃいそうな超至近距離で

あっぱりしゃんの島唄ライブがスタート。

あらかじめステージがある民謡酒場と違って

お客さんが集う居酒屋のフロアで唄者がそのまま歌う。

歌う人も聞く人も踊る人もみんな同じ場にいる心地よさ。

北海道からの旅人も他県の人も本島の人も八重山の人も

誰もが長浜さんの三線とちょっとハスキーで

ブルースのような島唄と軽妙なトークで

一瞬にして垣根がなくなりボーダーレス状態。

みんな、みんな、あっぱりしゃん。

八重山諸島は唄の島。

夏川りみやBIGINなど全国的なシンガーを輩出する背景には

島々の祭祀行事や暮らしのなかで脈々と歌い継がれてきた

「八重山民謡」の存在があります。

ユンタなどの労働歌、琉球王朝の流れをくむ節唄などなど

島ごとに集落ごとに様々な思いがこめられた歌があり、

八重山の島唄は八重山の歴史そのもの。

一見ブルースミュージシャン風の長浜さんが

心に染み入る歌声とともに語る言葉は島への愛と誇りにあふれている。

1mの距離で聴く「安里屋ユンタ」は涙もの。

豊かな海や山にかこまれ、夜は美しい月や星空に見守られながら、

自然とともに暮らす人々が紡いできた島唄の調べは

お店の雰囲気と同じ、いつ聞いても、不思議に懐かしく、

ふいに、うかつに、涙が出そうになる。

島唄に身をまかせ、

満天の星、白い砂浜、濃密な緑、青い海・・・

フラッシュバックする八重山の景色に酔いしれていると、

ライブもいよいよ最高潮のクライマックスへ。

そう、全員総立ちのカチャーシーであります。

恥ずかしがっては損損、見よう見まねで盛り上がるべし。

はじめてあった人たちを一気につなぐ島唄の引力は凄い。

みんな、心から楽しそう。いいお顔しています。

あっぱりしゃん。

可愛い、美しいを意味する八重山の言葉には

特に「心が美しい人」のことをさすという。

島の料理に舌鼓、島唄に酔い、躍るうち

心身が健やかになっていくのを実感する。

那覇・久茂地川沿いの名居酒屋で過ごす夏の夜。

みんな、みんな、あっぱりしゃん、だった。

(写真は)

八重山民謡を熱唱。

「隠れ家あっぱりしゃん」の店主長浜さん。

プロの島唄を同じ空間で堪能できる贅沢。

ライブチャージも無料だなんて

ほんと贅沢な名居酒屋でした。