マッサン・ハイランド

澄み切った青空の下

重厚な石造りの建物が並ぶ。

北海道、余市。

ここは、ある男の夢の原点。

マッサンのハイランド。

初夏の北海道を訪れた学生時代の友人夫婦とともに

夫の運転で余市方面まで半日大人の遠足ドライブ。

行列必至の海鮮問屋運営の人気食堂「柿崎商店」で早ランチ、

超新鮮な海鮮丼、磯丼、ホッケ焼きにサッポロ生を堪能し、

腹ごしらえも万全になったところで、いざ、本日の本丸へ。

といっても嬉しいことにお店を出て角を曲がれば、

赤い屋根に石造りの建物が見えてきました。

あああ~、毎朝ドラマで観ていましたよ~。

マッサンの夢の原点。

ニッカウヰスキー余市蒸留所。

1934年(昭和9年)日本のウィスキー造りの父、

創業者竹鶴正孝によって設立されたニッカウヰスキーの聖地。

本場スコットランドで学び、妻リタを伴って帰国した彼が

様々な曲折を経ながらここ余市で国産ウィスキー造りに

情熱を傾けた夢の物語は朝の連続ドラマ「マッサン」でもおなじみ。

当時の姿を今に残す創業の地で

その歴史とウィスキーの奥深さに触れる。

これぞ、大人の遠足。

優美なアーチを描く門をくぐり、入場料おいくら?と思ったら。

・・・なんと!・・・入場無料!

蒸留所敷地内は自由に見学でき、案内マップももらえて、

事前予約すればガイド付きツアーもあるというのに、

無料で見学できるなんて、マッサン、太っ腹。

日本のウィスキー造りの原点を多くの人に触れてほしいという

ニッカスピリット、ウィスキー愛のあらわれですね。

おおお~、なんと広くて、美しい。

初夏の澄み切った青空に

歴史を刻んだ赤い屋根の石造りの建物が立ち並ぶ。

ここはまるでスコットランド、ハイランド。

行ったことないけど、日本じゃないみたい。

昭和9年から順次建てられた蒸留所の建物は今なお健在、

今にも白衣姿のマッサンがひょいと姿をあらわしそうだ。

マッサン、わかりました。

この美しい自然、環境に惚れたのね。

敷地を吹きぬける初夏の風はどこまでも爽やかで

若々しい緑とかすかにかすかに潮の香が感じられる。

北に豊かな日本海、三方を自然溢れる山々に囲まれた余市は

仕込み水に適した清涼な雪解け水、

ゆっくりした樽熟成に欠かせない湿潤で冷涼な気候といい

本場スコットランド・ハイランド地方にそっくり。

ここしかない、ここだ。

マッサンが直感した理由が、実際にこの地に身を置いて、

緑とかすかな潮の香を含んだ初夏の風に吹かれて体感できました。

今から80年以上も前、マッサンが惚れ込んだ余市は

海にも山にも近く、先程の海鮮丼、果樹園のアップルパイ、

注目ワイナリーの極上ワインなどなど、

今では味覚豊かな町として多くの人を引き付けるのも納得。

ウィスキーの父は、あらゆる意味で先見の明があったのです。

乾燥棟、糖化棟、発酵棟、蒸留棟、混和棟・・・。

長い時間をかけて多くの工程を経て造られるウィスキー。

マッサンの夢を追うように順番に見学を始めたとたん、

「ああ~、スモーキーフレーヴァー・・・!」。

キルン棟とも呼ばれる乾燥棟に入った瞬間、

鼻をくすぐる芳しいスモーキーな香りが。

ここでピート(泥炭)を焚き大麦を燻しながら乾燥させているのです。

この燻した香りが麦芽につくことによってウィスキー特有の

スモーキーフレーバーが生まれるのであります。

実物のピートも見学用に置かれていました。

鼻を近づけると力強い香りがぐんと濃くなります。

百聞は一香にしかず、ですね。

余市のニッカ誕生物語は道民として知っていたけれど、

久しぶりに大人になって訪れたマッサンの約束の地。

当時のままの蒸留所は単なる見学のための場所じゃなかった。

今もここで重厚で力強い余市モルトが造り続けられている。

夢の跡ではなくて、今も夢が紡がれている。

80余年、現役バリバリのマッサンの理想郷。

マッサン。

ここを見つけてくれて、ありがとう。

余市は日本のハイランド。

あなたが見つけた夢の原点。

さあ、ウイスキー夢の旅を続けましょう。

(写真は)

ニッカウヰスキー余市蒸留所。

美しい日本のハイランドの情景。

背後に雪深い山々を抱き、

豊かな日本海がすぐそこ。

頬を撫でる風に

余市モルトの秘密がある。