イヤイヤイケレ

真っ青な夏空、眩しい緑。

悠々たる川、深い森、雄々しい山々。

豊かな大自然に抱かれた

美しい暮らしに触れる旅。

心からイヤイヤイケレ。

絶好のお出かけ日和だった先々週末、

2日連続で大人の遠足ドライブを決行。

前日の余市方面に続き、夏の日高路へ。

緑の牧場で草をはむサラブレッドの姿は

もはや芸術品、美しい生きる彫刻。

道民も感動するザ・北海道な風景を眺めながら、

目的の行列のできるそば屋さんへ。

1960年(昭和35年)創業の「いずみ食堂」。

舌の肥えたホースマン達も虜にしてきた絶品おそばのお店。

独特のもちもち&つるんとした食感の手打ちそばは

インパクト抜群の極太ちぢれ麺とボリューミーなトッピング、

日高昆布と鰹節でとっただしと優しい味わいで一度食べたらクセになる。

行列ができるのも納得の旨さ。

日高路ドライブにはマスト、ですねぇ~。

目の前の太平洋で水揚げされたぷりぷりたこが載った

1番人気の「たこかき揚げ天そば」をぺろりと完食。

はぁ~、お腹いっぱい。このおそばが目的ではありましたが、

まだお昼過ぎ、時間は十分ありますねぇ~。

せっかく日高を訪れたのですから、次は文化探訪へ。

沙流川沿いの沙流ユーカラ街道を遡り二風谷へ向かいます。

美しい緑に囲まれた建物が見えてきました。

「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」。

現代にアイヌ文化を受け継ぎ、

新たな伝統の創造をめざす博物館です。

アイヌ民族の生活文化に関する貴重な展示・収蔵資料は

二風谷在住の民族文化研究家、故萱野茂氏が

生涯をかけて営々と収集、復元製作されたものが基礎となっていて、

北海道の歴史と文化の源泉を未来へ伝える宝物が

学術的にしっかり守られているのです。

館内は「アイヌ」「カムイ」「モシリ」「モレウ」4つのゾーンで構成され、

人々の暮らし、神々のロマン、大地の恵み、造形の伝統がテーマ。

白布をキルティングした文様が美しい着物「カパラミプ」や

繊細な彫刻が施された「イタ」と呼ばれる木の盆、

神に捧げる重要な儀礼具から子供をあやすための木の玩具まで

アイヌ文化を物語る豊かで美しい展示品に目を奪われます。

そのデザインの源にあるのは、自然。

渦を巻くように描かれる緩やかな曲線「モレウ」。

トゲのような「アイウシ」、目を表す「シキ」。

エキゾチックで美しいアイヌ文様は

この3つをベースに自由に組み合わされ表現されます。

海や大河の渦、植物のトゲ、夜空の星にも見える目、

自然と共に生きてきた人々は豊かな自然をお手本に

美しいデザインを育んできのですね。

一針一針丹念に刺繍された着物にも、

勇壮な刀の柄にも、日々の食器にも、

自然を敬い、愛する心がデザインされている。

アイヌ文様を眺めていると心が落ち着いていく。

シンプルでエキゾチックな文様の連続には

人の心を安定させる不思議な力がある。

疲れた細胞が大いなる自然に癒されるように。

渦巻き、絡まり、生命の営みのように連なる文様。

北海道の厳しい自然の中で生活する人々の心が

大いなる自然、地球、宇宙と直結していた証。

植物が風になびき、川を流れる水が渦を巻く様子が、

あらゆる命がつながってゆくことへの喜びが

その美しいデザインから感じられる。

文様は、饒舌だ。

北海道の大自然へ。

この地球に生まれたことへ。

素直にありがとうと言いたくなった。

「イヤイヤイケレ」。

アイヌ語でありがとうを表す言葉には

こんな意味もあるという。

イヤイヤイケレ。

「あなたの心に心にそっと触れさせて下さい」。

自然へ、人へ、常に感謝を忘れない。

傲慢とは正反対のスタイルがあった。

二風谷アイヌ文化博物館。

日高路を訪れたらぜひ。

(写真は)

緑と共存する「チセ」。

野外にはアイヌの伝統的住居「チセ」が

復元されていました。

山から得られる自然木で柱を組み、

身近な植物で萱を吹く。

厳寒の地の美しいエコ建築。