海のアッフォガート

真っ赤なトマトの海に

美味しく溺れていく。

春だから、

桜色の蛸を

小粋にアッフォガート。

息子が短い春帰省、久しぶりの三人家族、

おうちバルのお料理をつまむ週末でした。

低温調理のハニーマスタードポークとともに

なかなか評判だったのが「蛸のトマト煮」。

ゆでると桜色に上気する春らしい食材を

小粋なバル風の一皿に仕上げてみました。

蛸は世界的にはあまり食べられていない食材ですが、

極東アジアと地中海沿岸は美味しい例外、

さまざまに工夫された蛸レシピがありますよね。

今回は太陽の恵みいっぱいのトマト煮込み。

スペイン語で「カスエラ・デ・プルポ」。

イタリア語で「ポルポ・アッフォガート」。

どちらも同じような煮込みですが、

パプリカパウダーを入れるとスペイン風になる感じ。

イタリア語の料理名の由来がまたユニーク。

「アッフォガート」といえばおなじみのあのドルチェ。

冷たいジェラートが熱いエスプレッソをかけられて

溶けながら溺れていく(アッフォガート)という意味ですが、

お料理版のアッフォガートで溺れさせるのは蛸。

ナポリの港町にはこんな面白い由来が語られていました。

獲れたばかりの生の蛸をオイルたっぷりの鍋に入れて蒸し煮すると

水なんて一滴も入れていないのに蛸が溺れていた・・・。

つまり蛸自身から水分が出て煮込み料理になっていたのです。

あ~らら、蛸が一人でアッフォガート(笑)というわけ。

イタリア南部では昔から作られている、

愉快なネーミングの郷土料理なのでした。

本来は豪快に太い足一本まるごと

トマトの海に溺れさせ、1~2時間ことこと煮込むのですが、

今回はスペインバル風に小粋な時短ヴァージョンで調理。

オリーブオイルにつぶしたニンニク、赤唐辛子を加え、香りが出たら

スペイン風にパプリカパウダーをたっぷり、トマト缶を加え20分ほど煮込み、

その間にフライパンにオリーブオイル、みじん切りのニンニクを入れ、

隠し包丁を入れ一口大に乱切りにした北海道産蛸を加え、

1分間ほどざっと炒めます。

おおお~、出てくる出てくる蛸の水分。

この美味しそうな海のエキスごとトマトの鍋へ蛸を投入、

40秒ほどさっとなじませたら火を止めてできあがり。

蛸はさっと火を入れるか、徹底的にことこと長時間煮込むかの二択。

今回はバルの厨房でさっと仕上げる時短レシピを採用。

長々とトマトの海に溺れさせるのも可哀そうだしね(笑)。

鍋ごと冷ますことで蛸にじっくり味が染みていきます。

さあ、薄切りにした焼きたてのバゲットに載せて

パクリ!と一口で召し上がれ~。

う~ん・・・海の恵みがお口の中に広がります。

生命力にあふれた春の海の中が目に浮かぶよう。

これは、冷えたカヴァか白ワイン、

フルーツいっぱいのサングリアも合いますねぇ♪

イタリア南部に行けば「ポルポ・アッフォガート」

パプリカを利かせればスペイン風「カスエラ・デ・プルポ」。

名前は違っても美味しさは同じです。

蛸が大好きな日本人にもたまらない一皿。

イタリア人でもスペイン人でもないけど何故か郷愁をそそられる。

地中海版おふくろの味、なんでしょうね。

ちょっと作り過ぎちゃったかしら・・・なんて

そんな心配はご無用、

というか、むしろ大歓迎。

海のアッフォガートのその後については

また明日♪

(写真は)

真っ赤なトマトの海に溺れた蛸。

パプリカを利かせた蛸のトマト煮込み。

海を青さを映した沖縄ブルーのやちむんの器で。

大嶺工房の青によく似あいます。

春だから桜色に染まる蛸を食べよう。