黒い恵み

う~ん、

やっぱり美味しい。

胡麻、イカ墨、そしてコレ。

世界三大美味しい真っ黒フーズ。

春の食卓に「ひじき」。

時折、無性に食べたくなるのがひじきの煮物。

肉じゃがみたいな存在感はないけれど

食品ストック棚でひっそり待機する乾燥ひじきに気づいた瞬間、

あ・・・しばらく作ってないな、食べたいなと

あの真っ黒料理が恋しくなり、

いそいそ水で戻したりするのです。

先日も久しぶりに作りました。

ちょっとこっくり味に仕上げたかったので、

鶏むね肉少々に戻したひじき、干しシイタケ、ニンジン、

さつま揚げも炒め、だし汁と醤油、酒、味醂、ほんの少々の砂糖を加え、

あとはことこと、ことこと、ゆっくり煮含めていくだけ。

ひじきの煮物、一見手間がかかりそうな気がするけれど、

意外にそうでもないのよね。

世界に美味しい色とりどりな料理は数あれど、

真っ黒なお料理というのはそれほど多くありません。

思いつくのはイカ墨パエリャやパスタなどのイカ墨系料理に

黒胡麻を載せた沖縄の豚肉料理「ミヌダル」、

そして日本が誇るお惣菜「ひじきの煮物」。

胡麻にイカ墨、ひじき、

勝手に世界三大マ真っ黒フーズに認定しておこう。

子供の頃はこの真っ黒なヴィジュアルが苦手だったなぁ。

何だか小さな生き物を連想させる形状にひるんだものだ。

幼い舌では鄙びた旨さが理解できなかったのが、いつしか、

大好きなお惣菜に昇格していたことに気づいたとき、

アタシも大人になったものだと感慨深かった。

ひじきの煮物は大人への通過儀礼かもしれない(笑)。

見た目は超地味なお惣菜ですが、

真っ黒なひじきは器を引き立ててくれます。

桜色や菜の花色の小鉢にもお似合いだし、

白化粧や藍色の器に盛り付けるのも素敵。

黒いひじきは器やほかのお惣菜の美しさを引き出す

味わい深い食卓の名脇役。

日本人は古来から黒い海藻と共にありました。

縄文や弥生時代の遺跡から

ひきじらしき海藻が付着した土器が発掘されています。

奈良時代には神への供え物「神饌」としても使われ、

朝廷へ献上された記録も残っているそうですが、

日本人の味覚に合っていたというだけではなく、

カルシウム不足を海からの収穫物で補ったとも考えられるとか。

黒い恵みを体が欲していたのですね。

桜鱒や緑の春野菜、色とりどりの山菜などなど

色鮮やかな春の食卓を

黒一点、味と色で引き締めてくれるひじき君。

しみじみ、いい仕事をしてくれますね。

黒い恵みに感謝の春。

(写真は)

久しぶりの黒いお惣菜。

お手製ひじきの煮物。

器の藍と白を引き立てる黒。

ほんと、いい仕事してるねぇ。