ごめんねシァンルル
人間とは本当に思い込みの生き物だ。
「シァンルル」。
美しい響き、
トリコロールの箱、
絶対フランス語だって思ってたよ。
先日の十勝出張の際に立ち寄った
帯広で人気の老舗洋菓子店「クランベリー」。
代名詞となっている名物のスイートポテトと共にゲットしたのが
1972年の創業以来、作り続けている焼き菓子「シァンルル」。
十勝の食材を生かした素朴な味わいのクッキーで
チーズ・チェリー・レーズンの3種類がありますが、
圧倒的に大好きなチーズを2箱購入。
うふふ、お茶の時間が楽しみだわ。
そして数日後のティータイム。
桜フレーヴァーの紅茶などを淹れて、いざ実食。
袋を開けた瞬間、ふわりと香ばしいチーズの匂いがする。
飾り気のない長方形のクッキー、ほんと、久しぶりよね。
サクッと軽い食感、優しい甘さの後にチーズの風味が追いかけてくる。
悠々とした十勝の広い大地を思わせる素朴さがたまらない。
やっぱり、大好き、このクッキー。
シャルルだっけ?あ、シァンルル、なんだ。
そうです。白状します。
冒頭から「シァンルル」といかにも知ってる風に書きましたが、
実はこの時点まで好物クッキーの名前はうろ覚え。
印象的なトリコロールの箱に書かれたお洒落な字体のカタカナの名前を
「シャルル」か「シャロレ」かフランス語っぽいそれだろうと
何となくのイメージでしかとらえていなかったのです。
トリコロールにシャ・・・何とか、ですもの。
フランス語由来だろうと。
この度、その赤・青・白のトリコロールカラーの箱の裏を
まじまじと改めて見て、始めて知った。
正式名称「シァンルル」。
「十勝の古名から名付けられた」と記載されていたのであります。
シャルルでもフランス語でもなく、十勝の古名だった。
ちゃんと「シァンルルの由来」として、
さる文献からの引用文も紹介されていた。
「十勝國 本名ヲ「シァンルル」ト云フ
遠キ彼方ノ海浜ト云フ義・・・」
永田方正著「北海道蝦夷地名解」の一文が記載されている。
昔から大好きだった帯広名物の焼き菓子の名前は
それらしいフランス語でもなんでもなく、
北海道の歴史を今に伝える貴重な古語だったのです。
素朴なクッキーとともに先人の思いが詰まった名前の由来も
大切に味わってくるべきでした。
ごめんね、「シァンルル」。
箱の裏に記されていた「北海道蝦夷語名解」は
北海道全域にわたる地名をアイヌ語の原義に従って
国郡別に解説した文献のようです。
北海道の市町村名はその8割がアイヌ語由来とされ、
確かに、美しい響きを持つ言葉によく出会います。
私の故郷室蘭はアイヌ語の「モ・ルエラン(小さな下り坂)」が由来。
モ・ルエラン・・・フランス語にも似たキレイな響き。
ご当地のお菓子をいただくひととき。
美味しさとともにその土地や歴史を物語る言葉の響きも
深く味わいたいとしみじみ思う春のお茶時間。
銘菓の栞や箱の裏をちょっと気にしてみましょう。
お菓子の名前には物語がある。
(写真は)
帯広名物「シァンルル」。
トリコロールの箱、それっぽいカタカナ。
フランス語だと思いこんでいるのは私だけではないかも。
美しい響きに北海道の歴史を思う。

