やさしいデザイン

あ~、もぉ~、

気をつけていたのにぃ~。

容器の口から詰め替えシャンプーがぼとぼと、

あふれちゃったり、こぼれたり(涙)。

お風呂場でのあるある光景、

救世主が現れた。

中身はそのままなのに、デザインを変えただけで

半年間で売り上げが5割も伸びた。

そんな驚くべき効果をあげたのが

花王の「エッセンシャル」ブランドのシャンプー&コンディショナー。

詰め替え容器の形を従来のパウチ(袋)からボトル型へ変更したところ、

売り上げはぐんぐん伸びて、環境への負荷も削減できた。

朝刊日曜版にそんな興味深いエピソードが紹介されていました。

そうそう、コレコレ、この形。

従来のパウチ型と新しいボトル型が並んでいる。

記事に掲載されていた写真を見ればもう一目瞭然。

これまでお風呂場でシャンプーを詰め替えるのって、

結構、小さなストレス、ありませんでした?

濡れた手で袋のフィルムを手で引きちぎろうとして失敗したり、

袋の口から詰め替え容器に移そうにも、不安定でこぼれちゃったり。

あ~っ、もぉ~っ、このイライラをどこへぶつけたらいいの、なんてね。

デザインが、ストレスを削減。

これまでと素材はそのまま、形をボトル型に変更、

注ぎ口はキャップに替えて、真ん中に移動したのです。

しかも注ぎ口は詰め替え用の空ボトルの口にぴったりはまるサイズ、

両手が使えるし、床に置いてもぐらつかない。

実にストレスフリーでシャンプーの詰め替えが完了。

エライ、ありがとう、よく考えてくれました。

花王がこの新デザインに変更したのが昨年1月。

すると製品の中身は変わらないのに、半年間で売り上げ5割増、

表面積が35%小さくなり、使うフィルムも18%薄くなるなどで、

結果的にCO2の排出量も3%削減されたそうです。

消費者にやさしいデザインは

地球にとってもやさしいデザインだったということ。

とっても身近に感じるデザインの力。

デザイン変更を担当したのは「容器包装開発研究所」。

自前でこんな専門の研究所があるのですねぇ。

商品におけるデザインの力がいかに大きいか、

メーカーの本気度が伺えますね。

「良いデザインとは何か?」との質問に対して

室長はなんとも印象深い説明をしていました。

「わかりやすさ、使いやすさ、安全性を備えたもの」。

うん、実にシンプル、わかりやすい。

しかも「何の説明も要らず、使ってうれしいもの」で、

「設計者のこだわりがどこにあるかわからないくらいがいい」。

何て素敵なデザイン哲学でしょうか。

形をこねくりまわし、自己主張するばかりのオレ様デザインとは

そもそも発想の原点が違っています。

「こだわり」が邪魔して使い勝手悪いデザインなど商品としては困りもの

あくまでも使う人間に寄りそった「やさしい」発想から

良いデザインが生まれてくるのですね。

使う人に寄りそう「やさしいデザイン」。

ふ~む、プロとしての姿勢に感動します。

聴く人、観る人に寄りそう「やさしいアナウンス」、

喋り手のこだわりがどこにあるかわからない、くらいの境地には

なかなか辿り着けそうもありません。

キャリアは何十年になろうとも、まだまだ道は遠い。

どの道も日々努力、日々工夫。

身が引き締まる日曜日の朝。

(写真は)

立春翌日の青空。

晴れた空の青さが少しずつ濃くなっている。

陽の光も少しずつ力強さを増している。

真っ白い雪景色のなかで

春の気配をかすかにかすかに感じる。