夫婦たい焼き

マイクを持つ。

スイッチが入る。

伝えるための色々がオンになる。

アナウンサーという不思議な生き物。

それが私たち夫婦だった。

キャリア人生初の夫婦トークショーが

昨日、無事(笑)、終了いたしました。

道新プラザDO-BOXで開催された「オントナday」、

コラム「夫婦の往復書簡」を連載させて頂いているご縁から

夫婦揃ってのトークショーということでステージに登場。

同じ放送局の先輩、後輩ながら、マイクを持っての共演は初めて。

前夜からお互いに妙にむずむずする緊張感を隠しあっていましたが(笑)、

会場のお客様が温かな拍手と笑顔で迎えて下さり、

夫婦ともども、ほっといたしました。本当にありがとうございました。

この場を借りて、あらためて御礼申し上げます。

ゲストをお迎えしてのトークショーは何度も経験がありますが、

自らがゲスト、しかも身内同士でのトークショーは初体験。

まず戸惑ったのは、打ち合わせをどうするか(笑)。

誰が仕切るのか、お話のポイントは、流れは、シメは等々。

とりあえず夫唱婦随スタイルで、仕切りは夫、妻はちゃちゃ入れ(笑)などと、

食卓テーブルを挟んで色々、それなりに打ち合わせ的な試みもしましたが、

いかん、照れる。かと思えば、話題が細部に及んでくると、

「いやぁ~、それは言わないでぇ~」的なええかっこしぃが顔を出す(笑)。

そんなこんなで迎えた本番。

本番は一見にしかず。

新鮮な体験でありました。

いつもは食卓テーブルで向かい合っている夫の顔を

ライトの当たるステージの上で、斜め45度から見る不思議さ。

夫がマイクを持った瞬間にプロのスイッチが入るのがわかる。

声、表情、トークの組み立て、抑揚、間・・・「伝えるプロ」になっている。

感心すると同時に、でもやっぱりそこにいるのは見知った家族なわけで。

かくいう自分自身もマイクを持った瞬間にオンになっているわけで、

でも同時に隣で話す夫のことをプロと家族という二つの感覚で見ていて。

いやぁ、これは、この不思議な感覚は、私の筆力では描ききれない(笑)。

トークショーが終わっての帰り道、傍らの夫に妻が一言。

「林家ペー・パー子さんを心から尊敬します」「同感」。

夫婦漫才は凄い。暮しとプロの両立は凄い。

毎日毎日、現場で一緒に仕事を終え、お疲れさま~と同じ家に帰るのだ。

彼らのスイッチのオン・オフの切り替えは一体どうなっているのだろう。

などなど、問わず語りにお喋りしながら、

初冬の夕暮れ、私たち夫婦も家路につくのでありました。

本当に貴重な経験をさせて頂きました。

皆々さま、ありがとうございました。

お喋りすんで、日が暮れて。

人生初の夫婦トークショーを終えた夜、

温かいお煎茶を淹れ、夫に差し入れられた薄皮たい焼きを頂きながら、

「お疲れさま」「はい、お疲れさま」とささやかな慰労お茶時間。

「ああだったね」「こうだったね」と今日のステージを振り返ってみたけれど、

きっと、私も夫も、お互い口には出さないけれど、

その何倍もの「ああ言えば良かった」「こう返せば良かった」等々、

それはたっくさんの自分への反省を胸の中で繰り返しているに違いない。

アナウンサーとはそういう生き物だ。

何十年キャリアを積み重ねても

現場を踏むたびに新しい反省、新しい課題が生まれてくる。

それが人生初の夫婦共演であろうとも、全く同じことだった。

お互いに昨日生まれた新しい課題を胸に抱きしめながら、

新しい今日を生きていこう。

ひとつひとつお仕事を頑張ろう。

ね、お父さん(笑)

(写真は)

二匹仲良く並んだ、夫婦たい焼き。

夫が差し入れで頂いた十勝大名の薄皮たい焼き。

妻も美味しく御相伴させて頂きました。美味しゅうございました。

あ、「お父さん」?

そうなんですよ、昨日のステージ、プロとして喋っていたはずなのに、

つい普段の呼び方が一瞬飛び出してしまったのですよ。

きゃ~、恥ずかしい。恐るべし夫婦トークショー(笑)。