凄腕ミミクリー
ヨーグルトのふたも
マジックテープも
痛くない注射も
みんな自然界の生き物がお手本。
発明のヒントは生物が握っている。
「ヨーグルト、なぜふたに付かない?」
土曜版朝刊の科学コラムに寄せられた読者の質問。
そうそう、市販のヨーグルトって、開けてもふたがキレイなまま、
小さな水玉みたいヨーグルトがぽちんと付いているくらい。
考えてみれば不思議なこの現象、ふたに秘密があるらしい。
ふたの裏に小さな凸凹を作り、隙間の空気でヨーグルトを押し上げ、
さらに表面全体にはじく加工がされているのだそうです。
そのヒントは「ハスの葉」。
あ、確かに確かに。
雨が降っても、ハスの葉っぱは濡れていない。
大きな葉っぱの上で水が玉のようになってコロコロ転がり、
最後は葉っぱの外に流れてでてしまう。
ハスの葉の表面をよ~く調べると表面に凸凹があって、
さらに詳しく調べたら、葉っぱに細かい毛がびっしりはえていて、
細かい毛そのものにも水をはじく成分が含まれていたそうです。
このハスの葉の原理を応用したのが、朝のヨーグルトのふたであり、
雨の日もへっちゃらの撥水加工の衣料であります。
自然界の生き物って凄い。
長い進化の歴史を通して洗練された生物の形態を
モノ作りの技術に生かすことを「バイオミミクリー」と言うそうです。
日本語に訳すると「生物模倣」。
バイオ(生物や生命)+ミミクリー(模倣)=バイオミミクリー。
何とも語感は可愛らしバイオミミクリーですが、
偉大な発明の裏にはこのバイオミミクリーあり。
あれも、これも、それも、バイオミミクリーだった。
古典的なところではライト兄弟の飛行機の発明は
上面と下面で断面のカーブが違う鳥の翼から、
トンボやハチが空中で停止する原理からはヘリコプターが、
マジックテープは服や犬の毛にくっつく困りもの、
野生ゴボウの実の原理から生まれました。
雨で汚れが落ちるナノ撥水はカタツムリの殻から、
痛くない注射は知らぬうちに差される蚊のおかげ(笑)。
人類は痒さに耐え、痛くない注射を獲得したのだ。
いや、自然は凄い、生物の進化は凄い、
だが、同時に、そこに気づく人間も凄い。
凡人のアタシは空を飛ぶトンボを眺めても「ああ、秋だなぁ」って
ぼんやり思うだけ、「そろそろ鍋の季節ね」がせいぜい(笑)。
しかし先端技術の現場ではバイオミミクリー商品を
開発するための「アイデアの素振り」なる発想法があるそうで、
ノートに動物から連想した100個以上のアイデアを出し、
ダメならパス、ダメならパスと発想し続けるのだそうです。
頭脳にも「素振り」は大切、なのね。
そういえば、ダ・ビンチも夥しいアイデアの手稿を残していますね。
そうか、天才ダ・ビンチは「素振り」の天才でもあったのだ。
観察・連想・発想・失敗・観察・連想・発想・・・
何百回でもひたすら頭脳の素振りを続けた結果を
アタシのような凡人が享受しているわけで。
こんな穏やかな秋空の土曜日も最先端バイオミミクリーの現場では
ひたすら頭脳の素振りが繰り返されているのかもしれない。
凄腕ミミクリーにリスペクト、です。
(写真は)
我が家の人気おかず「にんじんシリシリ」。
料理好きの凡人は沖縄のシリシリ器にリスペクト。
絶妙なギザギザ加減は芸術的ですらある。
赤いミンタマシリーズのやちむんに
オレンジ色のにんじんしりしり。
秋の食卓に元気がみなぎる。



